取材当日、川原真由美さんが着ていたカーディガンの、きれいなミントグリーン色が目をひいた。
「実はこれ、母親のものなんです。ボタンは自分で付け替えました」
家具も新しく購入したものはほとんどなく、家族や友人から譲り受けたものを長年使い続けている。そこには節約精神というより「これが自分にとって心地よい」という気持ちがあるようだ。
「お金を使わないことばかり考えるのはなんだか虚しいし、我慢している分いつかリバウンドしてしまいそう。それよりも、自分が本当に欲しいものやしたいことに意識を向けるようにしていると、自然と無駄遣いが減り、結果的に節約になる気がします」
衝動買いなどの失敗も経て、少しずつちょうどいいお金の使い方がわかってきたという。無駄遣いを防ぐのに大切だと考えているのがストレスを溜めないこと。自宅での仕事の合間をぬって近所の公園などを散歩している。
「頭の中を空っぽにして土の上や木々の中を歩くと、満ち足りた気分になって自分の軸がはっきりしてくるんです」
10年前から始めた登山も自分の軸を保つ上で欠かせない趣味。考え方にも影響があったと話す。
「荷物をなるべく軽くするため、山には必要最低限のものしか持っていきません。でもそれだけだと味気ないのでコーヒー豆を挽いたものや好きなおやつなど楽しみをプラスすることも。その塩梅は、登る山や体調によっても変わります。
お金の使い方もそれと一緒だと思うんです。何がぜいたくで何が必要か、そのバランスは自分にしかわからない。人と比べず、その時々の自分が考える心地よさに合わせて、いいお金の使い方をしていきたいです」