くらし

犬も猫も長生きの時代。知っておきたい介護のこと。

愛犬&愛猫のために、今知っておきたい介護への心構え。獣医師の小林清佳さんに教わります。
  • イラストレーション・yamyam 構成と文・新田草子

猫のプライドを傷つけない細やかな配慮が必要に。

動物医療が進歩し、フードも良くなって、長寿の犬や猫が増えている今。完治しにくい病気とともに生きていくケースや、ハイシニア期以降で必要になることが多い、介護についても知っておきたい。猫の場合から見てみよう。

「最初に考えたいのが、生活スペースです。行動範囲が狭くなってきたら、室温の調整がしやすく、また、ベッドの近くで食事やトイレを済ませられる環境を用意します。ただ、猫にはプライドがあり、トイレの場所を変えても元の場所に戻ってしまうことが多いので、トイレの数を増やす、徐々に近づけるなどして配慮します」

トイレトレーを、またぐのに苦労しない高さのものに替えるなどの工夫も必要になるという。

「食器の高さも、少し高くしたほうが食べやすくなることがあります。寝たまま食事を与える場合は、顔や体を起こし、誤嚥性肺炎を起こさないようにケアを。これは、犬の場合も同じです」

また、犬猫ともにクリニックでの治療は、

「注射剤は飲み薬で代用できるならそちらに替える、リハビリも飼い主が覚えて自宅で行うなど、通院の負担をできるだけ減らせるといいですね。往診に応じている病院に相談するのも手です」

寝たきりでも、できるだけ快適に過ごせる環境作りを。

犬の介護も、まずは住スペースの準備を。温度調節ができて寝食とトイレが近い環境を整えつつ、

「筋力が落ちるとフローリングで滑りやすく、肩などを脱臼することもあるので、滑り止め製剤やカーペットの使用も検討します」

また、中型犬や大型犬の場合、寝たきりになると褥瘡(じょくそう)ケアが必要になってくる。

「動物用の低反発のウレタンマットなどを利用しても。同時に、おむつが着けやすいようお尻まわりの毛を刈る、寝たままシャンプーできるアイテムを使うなど、衛生ケアの知識も持っておくと、いざというときに慌てずに済みます」

老衰での遠吠えや夜鳴きは、サプリメントや投薬で緩和できることもあるので、獣医師に相談を。

「犬と猫のヘルスケアには思った以上にお金がかかるもの。多頭飼いなら治療費もそれなりですし、投薬量は体重当たりなので、犬は体が大きいほどお金がかかります。犬種や猫種、年齢などで、医療保険を検討するのも一案です」

そして、ペット長寿化時代の今、こんな備えも必要に。

「万が一自分が世話できなくなったときの預け先や引き取り先をどうするか。少しでも幸せに余生を全うしてもらうために、ぜひ心に留めておいてください」

小林清佳

小林清佳 さん (こばやし・きよか)

獣医師

東京・杉並区のモノカどうぶつ病院院長。病院での診察の傍ら往診にも対応している。雑誌『ねこのきもち』(ベネッセ)の監修も担当。

『クロワッサン』1056号より

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