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犬&猫のヘルスケア、こんな症状が長引くときは病院へ。

愛犬&愛猫のために、今知っておきたい健康トピックス集。獣医師の小林清佳さんに教わります。

イラストレーション・yamyam 構成と文・新田草子

嘔吐(犬・猫)

【犬】
一日に何度も吐く、毎日吐く、という状態が続くときは、胃腸炎や膵炎、腎不全などの恐れが。また、まれに、てんかんのような脳の異常や耳の異常が原因のことも。
てんかんはけいれん発作が有名ですが、突然鳴いたり、決まった行動のあとに嘔吐するなどわかりにくいこともあります。獣医師に直前の症状も詳しく伝え、相談を。

【猫】
猫はよく吐く動物なので見過ごされることが多いですが、時として腎不全や膵炎が隠れていることがあります。さらに言うと、鶏と卵ではないですが、実は嘔吐を繰り返すことでも膵炎になりやすい。
ブラッシングをする、毛玉を解消するフードを与える、ストレスをかけないなど、なるべく嘔吐させないように気をつけたいですね。

咳・くしゃみ(犬・猫)

【犬】
マルチーズやチワワなどの小型犬は、もともと咳のような反応が出やすい喉の構造をしています。
すぐに治まるなら心配はいりませんが、高齢で、咳が長引くようなら心疾患の恐れもあるので、一度検査を。
咳が止まらず舌が紫色になっていたり、呼吸が苦しそうなときは、緊急性が高い病気の可能性もあるので、すぐに病院へ。

【猫】
猫の場合、多いのはくしゃみ。1〜2回で治まらず、鼻水も出ているなら上気道感染症を疑います。
考えられる原因は猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどのウイルス。肺炎に発展することもあるので早めに受診しましょう。
咳の症状は少ないのですが、猫ぜんそくという咳が出る病気があることも知っておいてください。

下痢(主に犬)

【犬】
季節性のものや一過性の軽いものなら食事を控えめにすれば1〜2日で治まることが多いのですが、長引いたり、あるいは軟便や水のような便が続くならきちんと検査を。アレルギー性腸炎のほか、リンパ管拡張腸炎という難しい病気である可能性も否定できません。
超音波検査や血液検査で診断しますが、詳しく調べないと分からないので見過ごしがちです。下痢は小さな刺激が引き金になる、犬にはわりとよく見られる不調です。下痢や食欲不振が続くのに検査では何も見つからないときなどは、ストレスや気象の変化が原因になっていることも考えられます

多飲多尿(犬・猫)

【犬】
水をたくさん飲む上におしっこの回数が増え、散歩が待てずに粗相をしてしまうなどいつもと違う行動が続くようなら、腎臓の病気や糖尿病、またはホルモン異常によるクッシング症候群などを疑います。未避妊のメスなら子宮蓄膿症も視野に入れて診断します。手遅れになると命を落とすこともあるので、早めに受診を。

【猫】
犬の4つの病気のうち、クッシング以外は猫にも当てはまります。猫は病気を隠すのがうまく、初期症状には気付きにくい。尿量が増えた、薄くにおいのないおしっこが大量に出る、などのサインを見逃さずに。ちなみにオスで何度もトイレに行くのにおしっこが出ないという場合は、尿石症の疑いが。緊急性が高いのですぐに病院へ。

動作がゆっくり(犬・猫)

【犬】
歳をとったから、と見過ごされがちですが、段差を嫌がる、ゆっくり歩くなど動きが鈍いときは、関節に痛みがあるのかもしれません。炎症を抑える方法を、獣医師と相談しましょう。
同時に皮膚炎や膀胱炎も頻発するようなら、感染症に弱くなっている状態が疑われ、甲状腺機能が低下しているかもしれません。

【猫】
猫も、運動量の低下は関節疾患の兆候。起き上がりにくそうにしている、高い所に昇らなくなった、などは要注意です。
一方、猫の場合、甲状腺機能が低下することはまれ。反対に加齢で甲状腺機能亢進症を発症しやすくなります。食べるのに太らない、やたら鳴くなど、元気に見えて実は体には負担大。適切な治療を受けましょう。

便秘(主に猫)

【猫】
嘔吐と同じく、猫は便秘もよくする動物です。
それでも2日に1回しか出ない、といった状態が続くなら、腎臓が弱っているサインかもしれません。
腎臓は血液中の老廃物を濾過し、凝縮して排出しますが、機能が低下すると老廃物をこまめに出す必要が生じ、尿が多くなります。水が多く必要になるため、腸から水分が再吸収されて便秘気味になってしまうのです。
水分を多めに摂らせても改善しないようなら検査を受けましょう。便が腸の中で大きく固まって慢性の便秘を起こす、巨大結腸症という難病も猫に特有。便秘がちな子には特に気を配りましょう。

犬&猫のヘルスケア、こんな症状が長引くときは病院へ。
  • 小林清佳

    小林清佳 さん (こばやし・きよか)

    獣医師

    東京・杉並区のモノカどうぶつ病院院長。病院での診察の傍ら往診にも対応している。雑誌『ねこのきもち』(ベネッセ)の監修も担当。

『クロワッサン』1056号より

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