52歳の独身デザイナー、渋井直人。センス抜群で仕事もできるのに、女性には全くモテない……。そんな中年男性の不器用な日々を描き、昨年ドラマ化もされた人気漫画『デザイナー渋井直人の休日』。その作者が、渋谷直角さんだ。
「ドラマの監督や出演者に差し入れをした時は、渋井直人を意識して“ワインとフォアグラのスティック”みたいな気取ったものをあえてぶつけてみました」
今回挙げてもらったのは、それとはかなり路線が違う、ほのぼのした見た目。岐阜・高山の和菓子店『稲豊園』の招福猫子(しょうふくねこ)まんじゅうだ。
「母親の実家があるので、高山には長年通っています。街の真ん中を川が流れていて、その周りに古い建物が並んでいるきれいな街。子どもの頃、夏休みに遊びに行ってはいとこたちと遊んでいました。用水路で泳いでいる小魚をとったりするのも東京育ちの僕には新鮮でしたね」
『稲豊園』は100年以上続く高山の老舗。渋谷さんも昔からよく知っている。
「ここの草まんじゅうっていうのが地元の人にとってのソウルフード的な存在なんですが、日持ちがしないのが難点。だからお土産はもっぱら、インスタ映えもしそうな猫子まんじゅうです。見た目のインパクトがあるので、箱を開けた時、みんな『わー!』って喜んでくれます」
それにしても、漫画の中の渋井直人はおいしいものに詳しい。作品中には数々のお店や手みやげが実名入りで紹介されていて、グルメガイドとしても楽しめる。