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骨と臓器の位置を知る!?│山口恵以子「アプリ蟻地獄」

イラストレーション・勝田 文

『あそんでまなべる 人体模型パズル』。人の体のさまざまな器官を覚える教育系パズルアプリ。無料。
『あそんでまなべる 人体模型パズル』。人の体のさまざまな器官を覚える教育系パズルアプリ。無料。

アプリのマークが頭蓋骨でインパクトあり。内容は人体の正しい位置に骨と臓器を当てはめてゆくパズルゲームで、臓器・骨格・複合の三分野があり、それぞれベーシックとエキスパートに分れている。

ゲームを始めると、誰しも自分が如何に骨や臓器について無知だったか、思い知らされるだろう。

例えば脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)・橈骨(とうこつ)・尺骨(しゃっこつ)など、どこの骨やら見当も付かないし、読み方すら分らない。臓器にしても、胃腸と心臓くらいはともかく、膵臓という臓器が身体のどこにあるか、専門の勉強をしたことのない人はおそらく知らないだろう。

と言うわけで、始めると結構面白い。未知のことを知る楽しさもあるが、自分の身体のことだから、ある程度興味が持てるのだろう。

臓器と骨をパズルにはめ込みながら、ふと考えたのは私が通っている「きくち体操」のことだ。教室には骸骨の模型と人体の筋肉図が飾ってあり、先生方は時々それを指し示しながら、この運動がどの骨や筋肉に効き、それが人体にどのような影響を及ぼすか解説してくださる。教室に通ううちに、身体の一つ一つの部分が繋がって、複雑怪奇な人体が機能するのだと、身にしみて分ってきた。

私は「きくち体操」に出会うまで足の指を意識したことなど一度もなかった。だが足の指の力がないと、人は立つことも歩くことも出来ない。

身体は自然に「悪くなる」のではなく、自分が「悪くした」のだと、今は反省している。骨も臓器も筋肉も、私の身体、ありがとうね。

山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。最愛の母と過ごした最期の日々を綴ったエッセイ『いつでも母と』(小学館)。

『クロワッサン』1019号より

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