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問題の本質が何なのか分らない限りは繰り返しますよ、同じことを――タキエ・スギヤマ・リブラ(人類学者)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、いまこそ噛みしめたい、フェミニストの警句を読み解きます。

文・澁川祐子

1979年1月10日号「いま、フェミニスト運動は?」より
1979年1月10日号「いま、フェミニスト運動は?」より

問題の本質が何なのか分らない限りは繰り返しますよ、同じことを――タキエ・スギヤマ・リブラ(人類学者)

#MeToo運動が盛りあがる昨今、再度読み返したくなる約40年前のフェミニスト運動の記事。国内外のフェミニストたちの声に加え、アメリカのフェミニスト運動事情も紹介しています。

当時、青山学院大学助教授だった渥美育子さんが放った〈女の心の中のうしろめたさが敵よ〉というひと言や、弁護士の淡谷まり子さんによる〈経済的には欧米なみなのに、女の状況としては圧倒的に遅れています〉という指摘など。記事内には、いまの雑誌でも十分通用するような言葉が満載です。

そのなかでとどめを刺されたのが、日本の女性を研究しているというハワイ大学人類学部教授のタキエ・スギヤマ・リブラさんのこの発言。リブラさんはこうも語っています。

〈日本の主婦は家庭では支配者で、夫には育児や料理に干渉する権利がないから、主婦は自立しているように見えるんですが、日本では性による分業がはっきりしているでしょ。経済的、社会的な面で妻は夫に完全に依存し、夫は家事や身の回りのことでは妻に依存している。依存すると同時に依存されることによって拘束され、制約されて、自立できないのよ〉

この言葉を受け、現代の様相を省み、さらに名言を読むと「まさに……」としか言いようがありません。共働き夫婦が増え、状況は少しずつ好転しつつあるとはいえ、いまなお現在進行中の問題。フェミニズム運動が再来するなか、ずるずると繰り返さないようにできるのか。まさにいまは分岐点だと気づかせてくれる、ムチの言葉と受けとめました。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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