くらし

印象派の名作と現代アートを共に堪能。ポーラ美術館『シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート』

  • 文・知井恵理

心地いい日差しがふり注ぐガラス張りの美術館。その展覧会場の入り口でかすかに聞こえてくる澄んだ音色。誘われるように足を進めると、印象派の大家であるモネの作品「睡蓮」と、無数の白い陶磁器を浮かべたプールに出迎えられる。プールの水面は、窓から入る光を受けて刻一刻と表情を変え、さながら「睡蓮」の水面を写しているかのよう……。

といった具合に、過去の名作と現代アートを同時に鑑賞できるのが本展の最大の特徴だ。屋内および屋外の遊歩道を含む展覧会場には全部で12のテーマが設けられ、それぞれで、過去の巨匠たちによる作品および、それらと交錯するような音や映像、絵画、写真といった多種多様な現代アートを堪能できる。実は2002年の開館以来、ポーラ美術館で現代美術の展覧会を行うのは初めて。

《クリナメン v.7》セレスト・ブルシエ=ムジュノ 2019年 木の床、ポリ塩化ビニル製シート、ポンプ、陶磁器、水 ©Céleste Boursier-Mougenot Photo:Keizo Kioku

「ポーラといえば印象派とイメージされる方が多く、実際、優れたコレクションが多いのですが、一方で現代の作家等への助成事業も長年行っており、現代美術との繫がりも深いのです。そこで、なじみ深い近代の作品と、それと共通するアイデアを感じさせる現代美術とを並べて、近代と現代、両方の魅力に親しんでいただける企画を目指しました」(ポーラ美術館学芸員・鈴木幸太さん)

《睡蓮》クロード・モネ 1907年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵 「水とうつろい」というテーマで展示される2作品。「現代アートを通じて、カンヴァスを戸外に持ち出した印象派の画家・モネの視点を感じられるかもしれません」

「神秘の大地」というテーマで展示されているのは、自然を描いたクールベの作品と巨大な墨ドローイング。「声のかたち」というテーマでは、東洋の陶磁コレクションと器が奏でる音のインスタレーションが並ぶ。また、常設の彫刻以外で、屋外に作品が展示されるのも今回初の試み。現代美術作家のスーザン・フィリップスは、来日して実際に箱根の森を見た後に作品を完成させたそう。

「敷地内にある『森の遊歩道』を散策しながら自然に触れていただける、都心ではありえない体験も当館の魅力ですが、今回の展示では、それに加えて、豊かな箱根の自然と現代アートを一緒に楽しんでいただけたらうれしいです」

《悪魔たち》(部分)オリヴァー・ビア 2017年 16個の器、音響機器 フォーリンデン美術館蔵 (ワッセナー、オランダ)Image courtesy of the artist and Galerie Thaddaeus Ropac ©Oliver Beer Photo:Stephen White 紀元前3000年から21世紀まで、古今東西のさまざまな器にマイクを設置し、内側で反響する音を重ねることで音楽を生み出す音のアート。どんな音が生まれるか必聴。

ポーラ美術館
『シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート』〜12月1日(日)

(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285) TEL.0460-84-2111 開館時間:9時〜17時(入場は閉館30分前まで。森の遊歩道は9時〜16時30分に開放、天候により閉鎖あり) 無休(展示替えのための臨時休館あり) 料金・一般1,800円。
https://www.polamuseum.or.jp

『クロワッサン』1006号より

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