くらし

秋の夜長に国語力アップ!?│山口恵以子「アプリ蟻地獄」

  • イラストレーション・勝田 文
『国語力クイズ 4500問』。一問一答3800問、四択問題700問をクイズ形式で楽しめるアプリ。無料。

読んで字の如く、あなたの国語力を試す四五〇〇問。ノンジャンル・故事ことわざ・四文字熟語・漢字の読み・送り仮名・対義語・古語・日本文学・外国文学その他、様々な問題が用意されている。

ほとんどのジャンルの問題には一問一答と四択があって、四択にすればあまり間違えることはない。

実は私、とても成績が良かった。多くのジャンルで八十点以上を取り、「良く出来ました」の嵐!

やったね。鼻高々でありました。 ところがとんでもない伏兵がいた。漢字の読みの、地名と外来語。これがまあ、途轍もなかった。

白耳義(ベルギー)、葡萄牙(ポルトガル)、墺太利(オーストリア)くらいまでは何とか読めた。しかし希臘、丁抹、埃及、布哇、爪哇って、何!?

ギリシャ、デンマーク、エジプト、ハワイ、ジャワと読むんですが、どう考えても無理でしょう。

外来語もすごい。牛酪(バター)、麦酒(ビール)、庭球(テニス)くらいは何とかですが、虎列刺(コレラ)、木栓(コルク)、仮漆(ニス)、麺麭(パン)、乾蒸餅(ビスケット)って、読めないですよ。

昔の人はどうしてこんな文字を当てたんでしょう?

しかしその一方、江戸から明治に掛けて、先人達は哲学・科学・関数・権利・外交・大使館・原子・分子その他、おびただしい近代社会学と科学の用語を日本語に訳してくれた。お陰で私達はあらゆる学問を日本語で学ぶことが出来る。

自分の国の言葉で全てのジャンルの学問を学べる幸せを、しみじみと感謝した国語力テストでした。

山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。近著に『夜の塩』(徳間書店)。

『クロワッサン』1005号より

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