くらし

【石井風子さん×広沢京子さん 対談】福岡という街の魅力【1】

福岡を代表するセレクトショップのオーナーと人気料理家が、この街の魅力的な衣食住について話します。
  • 撮影・河原諒子 文・平井莉生

欲しいものはだいたい福岡で手に入ってしまうんですよね。(広沢さん)

福岡で間に合うように文化が育まれているのかもしれません。(石井さん)

(左)石井風子さん 「B・B・B POTTERS」オーナー(右)広沢京子さん 料理家

人口も右肩上がり、個性豊かな店の名前は県を越えて広まり、福岡の盛り上がりは衰え知らず。ライフスタイルショップ『B・B・BPOTTERS(スリービー ポッターズ)』を営む石井風子さんと、料理家の広沢京子さん。他県出身ながら、福岡に移住して長いふたりに、福岡の豊かな衣食住について話してもらった。

石井風子さん(以下、石井) 私が福岡に引っ越したのは33年前。店を開いて今年で28年になります。

広沢京子さん(以下、広沢) 私は福岡に住んでまだ10年です。今も変わり続けている街ですが、33年前はずいぶん様子が違ったでしょうね。

石井 当時の福岡は、“これから”というムードに包まれていました。「アジア太平洋博覧会(よかトピア)」が開催されたのが1989年で、商業施設「イムズ」や「ソラリアプラザ」ができたのも同じ年。それまで「岩田屋」や「大丸」といった百貨店が支持されていたけれど、ちょうど私たちが店を始めた頃から、個人店も盛り上がって少しずつ街が変わっていきました。店を軌道に乗せるために一生懸命頑張るのと、街が元気になっていくのとが同時代でしたね。

広沢 石井さんは、名古屋出身ですよね。何がきっかけで福岡に?

石井 結婚した主人が福岡出身だったので、「福岡で何ができるかやってみよう」という感じで引っ越してきたの。30年前は今のように“福岡の食べ物が美味しい”という情報があったわけでもなくって、「この街が合わなかったら別のところへ」くらいに思っていたんだけれど、住めば住むほど、「この街だったら一生添い遂げられるな」って思えたんです。

広沢 わかります。私も結婚がきっかけで移住したのですが、それまでも東京で働いて、疲れたら福岡に行くということをしばらく続けていました。実際住んでみるとエリアによる色の違いなど、改めて見えたこともたくさんあってさらに居心地がよくなって。

石井 そうね。私は、すごく衣食住のバランスがいい街だと思う。自分の暮らしも店も、そのバランスが取れていることが大切だと思っていて、福岡はそれを実現しやすい街だと感じます。

石井さんが、「広沢さんにお料理を盛り付けてほしい」とリクエストしたのは、大きな秋田杉のプレート。「ここまで思い切ったサイズのプレートってなかなかない! ケータリングやパーティーにぴったりですね」と広沢さん。

衣食住、そして人、すべてのバランスがいい街。

広沢 規模もちょうどいいですよね。そんなに広くないから、どこへ行くにも遠すぎることがない。あと福岡の人は受け入れる気持ちが強い気がして、でもベタベタしないというその距離感が心地よかったんですよね。

石井 私はそろそろ受け入れる側なので(笑)、広沢さんの話を聞いて自分はそういうふうにできているかなと省みちゃった。店のスタッフも福岡出身の人が多いんです。うちで働いてくれていることはとてもうれしいんだけれど、「一度は出てみてもいいんじゃない?」って思うこともあるくらい、福岡を出たことがない人もとても多いんです。そんなことを考えなくてもいいくらい、暮らしやすいんだなって。自分の息子には、「18歳になったら家を出るのよ」って言い続けて、実際に福岡を出て行ったときには少しさみしかったけれど。最近孫ができて、また戻ってくることになったんです。

広沢 そうなんですね。一度出て、また戻ってくる方もすごく多いですよね。次の人生と仕事を考えて福岡に帰ってくる。「いろいろ知りたい!」っていうギラギラした気持ちがある時は東京もいいけれど、子どもができたりして落ち着いた暮らしがしたいと思った時には、福岡ってすごくいいと思います。自然も近いし、食べ物も美味しいし。

石井 私も出張から戻ると、福岡の食にほっとします。どこに行っても、安いものでもたいがい美味しい。迷わないでいい安心感がありますね。

広沢 海も山もあるから、まず素材が優れています。あとはアジアの他の国のように外食文化が栄えているので、様々なジャンルの食が全部美味しい!

石井 外食の層が厚いですよね。

広沢 昔は料理の腕を発揮したいならば一度東京へ出るという流れがあったと思うんですけれど、今はそうとも限らなくて海外からそのまま福岡に帰ってくる人も少なくないそうですよ。

石井 材料のよさもあるのかしら?

広沢 それも大いにあると思います。こんなこと言うとお仕事が減ってしまいそうだけど、食材そのものがすごく美味しいので、塩とオイルさえあればもう料理しなくていいんじゃない?ってなっちゃうほど(笑)。

石井 それくらいいい環境っていうことね。広沢さんは、福岡に移住するとき仕事のことは心配しなかった?

広沢 心配しなかったわけではないのですが、なるようになるかなあ、と。もともとこちらの生産者の知り合いもいましたし、逆に距離が近くなったことで見えてきたことやできることも増えて。こちらに居を構えてよかったなと思います。

上写真で石井さんが手に取っている、ドイツのロンネフェルト社のスリーピングポット。
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