掃除や料理、洗濯などの家事全般、ハウスクリーニング、キッズ・ベビーシッター。幅広いサービスを展開するベアーズは1999年の創業以来、家事代行サービス会社のパイオニアとして業界を牽引している。高橋ゆきさんは、20年前に夫と一緒にこの会社を立ち上げた。
「最近、170名のフィリピン人スタッフが入社したんです。全員が国家戦略特区の認定スタッフで、研修を受けたプロフェッショナル。彼女たちから家事代行サービスを受けながら生きた英語も学べる『カジリンガル』というサービスを開始したら、反響が大きくて」
エネルギッシュに語る高橋さんは最近50歳を迎えたばかり。その心境を問うと、「人生、ここからですよ」という言葉が返ってきた。
1990年代半ばに夫と香港へ渡った高橋さん。現地で仕事と家事や育児の両立に悩む中、香港では当たり前の存在である家政婦、いわゆる「メイド」に助けられた。帰国後、「これから日本に増えるであろう、働く女性を応援したい」という思いから、ベアーズを創業した。「家事代行」という言葉すら、なかった時代だ。
「創業の理由は2つ。ひとつは女性が家事を一人で抱え込まずに済むような、新しい暮らし方の提案をしたいということ。もうひとつは、新たな雇用の創出をしたいということでした」
それから20年。「ベアーズレディ」と呼ばれる、家事代行スタッフの登録数は5200人ほどになる。そのうちの6割が50代以上。最年長はなんと、84歳なのだという。
「ひとつのご家庭に長年通っているベアーズレディもたくさんいます。ご家族の看取りや、新しい命の誕生に立ち会うことも。この仕事は、家族に寄り添う仕事なんです」