伊藤 女が50を過ぎるとぶち当たるのが、親や夫の親の介護なんだよね。結婚しようがしまいが、子どもがいようがいまいが、みんな介護に直面する。そこで共感するというか、お互いやってるねっていう感じになる。その連帯感ともいえないような淡い感じが女友だちをつないでいると思う。
枝元 そうだね。私は母親が7年前に亡くなって、父親はこの間三回忌で、大変なこともあったけど、ひとりで背負い込まずにいろんな人に助けてもらえばいいってひろみちゃんに言われて、すごくラクになった。愚痴ではなくて、ただ話をしたいだけなんだよね。だから続いてるのかなって思うし。
伊藤 なんとなく春の日の霞のように寂しさみたいなものがあるときに、「ねえねえ」と言ったら「どうした?」って返ってくる。女友だちってこれでいいんじゃないかなって思う。もちろん、ほかに女友だちはたくさんいて、それぞれにつき合っているわけだけれど、ねこちゃんが一番家族に近い存在よね。
枝元 私もそう。家族に近くて、自分自身にも近い。いまはけっこう一緒にいる時間も多いけど、一緒にいようがいまいが関係ないかな。
伊藤 本当にねこちゃんがいてくれてありがたいって思う。ちゃんと地に足がついてあちこち歩きまわっている感じがするしね。料理研究家と詩人、業界がちょっと違うのもよかった。
枝元 きつねとたぬきぐらいの違い、って言ってたよね。まっ、私がたぬき、だわな。