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更年期障害が出やすい人って、いるのでしょうか【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q.更年期障害が出やすい人って、いるのでしょうか。

最近、朝起きたときに、手が握りにくかったり、ベッドから下りるのに関節がぎしぎししたり、微妙に体調の変化が出てきています。同世代の友人や職場の同僚を見回してみると、ひどい症状に悩んで会社を辞めてしまった人もいれば、とくに何もないという人もいて。一体何が違うのでしょうか。私の場合は、今後、更年期症状はもっとひどくなるのでしょうか。月経は2、3カ月おきくらいで、量も少なくなっています。(E・M 51歳 会社員)

A.更年期の時期も症状も、個人差が大きいんです。我慢せずに治療しましょう。

同年代でも、更年期の不調には個人差があります。以前、閉経の定義についてお話ししましたが、覚えていらっしゃいますかしら。最終月経から1年経って出血がなければ閉経、でしたね。卵巣機能が徐々に低下して、エストロゲンの分泌量が減るタイミングは人によって大きく異なります。当然、更年期症状があらわれる時期も人それぞれです。

それだけではありません。

子どもの受験や就職が重なったり、親の介護が始まったり、また昇進するなど職場での責任が重くなったりすることもあるでしょう。そんなライフイベントが重なると、その人のもっている性格や考え方、家庭や職場の環境などが複雑に絡み合い、症状に影響を与えます(下図参照)。

【更年期症状を左右する3つの要因】

エストロゲン低下に加えて、複合的な要素によって症状は変わってくる。ライフイベントが重なる年齢でもあるので、体調を含め、更年期はいろいろ見直す時期とも言える。

性格的には、母や妻の役割、仕事などを完璧にこなそうとする人は、知らないうちにストレスがたまりやすくなります。また、ちょっとしたことをくよくよ考え込んでしまう人も、ストレスを抱えこんで不調を重くすることがあります。更年期症状は多彩で、その種類が100とも200とも言われるのは、そういった理由があるからなんです。

更年期症状は、他人にはなかなか理解されず、つらいものです。自分ひとりで乗り切ろうと頑張りすぎないでくださいね。

「いつもの自分とは違う」

「こんなことは今までになかった」

などと感じることがあったら、自己判断せず、更年期外来などで診てもらいましょう。この、「いつもと違う」と気づくことが実はとても大事で、病気に気づいたり、更年期障害が重くならずにすんだり、その後の人生を左右するターニングポイントにもなるんですよ。とくに、更年期特有の出血と思っていたら、子宮体がんだったということもあります。不正出血があったら、婦人科で細胞診や血液検査などを行い、他の病気がないかどうか、確認しておくと安心ですね。すべて更年期が原因と思い込んで、発見が遅れることのないようにしましょう。

E・Mさんはこれから症状が重くなるのかご心配のようですが、それは誰にもわかりません。更年期をすぎれば、カラダはその状態に慣れていきます。でも、その期間、さまざまな不調を我慢して暮らさなければならないのも事実。今まで女性のカラダを守ってくれていたエストロゲンを失うわけですから、エイジングは確実にすすみます。人生100年時代とすると、閉経は折り返し地点。老化の速度をゆるやかにするためにも、ホルモン補充療法(HRT)など更年期治療を前向きに検討してもいいのではないでしょうか。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

ひとりで乗り切ろうと頑張らない。助けを求めよう。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1001号より

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