「野菜って、こんなにきれいだったの?」
花束と思ってのぞき込んだ人は誰もが驚く。「ベジブーケ」──その日の朝、採れた旬の野菜、ハーブ、フルーツを束ねた小山美千代さん考案のブーケである。
「緑、赤、白、黄……見て喜び、飾って楽しみ、食べておいしい。野菜の美しさとパワーを届けて笑顔になってもらいたい、その一心で作ってきました」
今日教えてもらったのは小さいブーケだが、背丈ほどのベジブーケタワーも。
「ウェディングなら、カブやスティックカリフラワーで真っ白なブーケ。還暦祝いなら真っ赤な野菜や果物だけで作ります。料理好きの人なら、ミネストローネの材料で束ねてみる。誕生日ならどんな人か、舞台ならどんな内容か、話を聞いてデザインするのも楽しいんです」
ケールや黒キャベツは根っこごと。人参や大根、ネギは1本丸ごと束ねる。だから小山さんのブーケは大胆だ。
「葉っぱだけでブーケを作っても、すぐしおれてしまいます。これは(ページTOPの写真)3kg、赤ちゃんの体重くらいですね。皆さん抱えると重くて驚きますが、幸せな重さですね、とおっしゃいます(笑)」
今では、全国からベジブーケを学びにたくさんの人が訪れる。
「ツヤやハリがあって美しい野菜は、味もいい。それには、育つ土が大事なんです。肌も一緒ですよね。土台に何を与えるか。どうケアをして、どう育てるか。一つひとつの個性を活かしてブーケにすると、美しさが際立つから不思議です」