からだ

Vol.58 食事の後、眠くてしかたありません。【40歳からのからだ塾WEB版】

皆さんは、食事の後に、眠くなることは、ありませんか。お腹いっぱい食べたときなどに、多少の眠気を感じることは、誰にでもありそう。でも、ひどく眠い、眠気が強すぎて仕事に集中できない……となると、困ってしまいますよね。または、何か心配な病気が隠れていたら……と、気になる方もいるのでは。
そこで今回は、食後の眠気について調査。どんな原因があるのか、眠くならないようにする対処法はあるのかなどについて、横浜市立大学附属病院 内分泌・糖尿病内科 教授の寺内康夫さんに聞きました。
  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

食後眠くなる主な原因は
胃腸に血液が集まるから

食後なぜ眠くなるのか。一般的なメカニズムとしては、血流の問題のようです。

「食事をとると、消化吸収を助けるために、全身の血液が胃腸に集まるんですね。すると、脳への血流量が一時的に不足して、眠気が起こる。これが食後の眠気の原因です」と寺内さん。少しぐらいの眠気は、自然な現象なので、心配ないそう。

ただし、注意点が1つあります。食後に眠い、かつ最近、体重が増えてきたという人は、要注意。食後の血糖値が高い「食後高血糖」という状態に、体重増加、運動不足、家族・親族に糖尿病患者がいるなどの条件が重なると、将来、糖尿病などの合併症に発展する可能性があるからです。

血糖値スパイクがある場合にも
眠さ・だるさが起こる

食後高血糖がどのようにして起こるのか、詳しくみていきましょう。

「通常、食事をすると、一時的に糖の血中濃度(血糖値)は上昇します。健康な人であれば、その変化は穏やかで、インスリンというホルモンの働きにより食後に適正な状態に保たれます。しかし、糖尿病や糖尿病予備軍の人などインスリンの分泌に異常がある人では、血糖値が急上昇し、その状態が長く続いてしまう〝食後高血糖〟がみられることがわかっています」(寺内さん)

逆も「あり」で、食後高血糖を放置していると、糖尿病になりやすいといわれています。

この食後高血糖と関連して、最近は〝血糖値スパイク〟が問題になっています。食後に血糖値が正常範囲を超えると、体はそれを下げようとしてインスリンというホルモンを出します。すると、今度はインスリンの過剰分泌により、血糖値が急降下してしまいます。これが、血糖値スパイクです(下図)。

こうした血糖値の乱高下を繰り返すと、食後にだるさ、眠さを感じることがあり、糖尿病や動脈硬化などのリスクが高まるともいわれています。

血糖変動のイメージ

血糖値スパイクのある人では、食後に血糖値が大きく上昇してしまう。
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