「顔色」という言葉には、その人の気持ちや心情を表す意味もあるように、肌色は、第一印象を大きく左右する要素。舞台に立つ女優は、若い役を演じるときには明るい白ピンク系、年配の役を演じるときには、暗く沈んだイエローオークル系のドーランを肌に塗る、と話していた。肌色を変えることで、年齢の印象を変えることができるとは、実に興味深い話だ。
肌色というと、紫外線やメラニンの作用を思い浮かべる人がほとんどだと思う。けれど、私たち大人の場合は、それに加え、その他の要因が、複雑に絡み合っているケースが多い。たとえば、肌の糖化。もともとは透明な色をしているコラーゲンやケラチンが、糖と結びつくことで、黄色、もしくは茶褐色に変色してしまう老化現象の一つだ。肌の色は、表面的なものではなく、透けて見える内側の色が関係しているため、肌内部の糖化によってどんよりと沈んだ色に見えてしまうのだ。
また同様に、血液の色も大きく影響している。多くの人の場合、年齢とともに呼吸が浅くなり、それにより血液中のヘモグロビン量が減少する。そこに運動不足や栄養不足が加わると、血液が、どす黒い色になる傾向に。これが、イキイキとした明るい血色感を損なわせている一因になっている。
さらに、肌のフィルターのような存在といえるのが角層の状態。角層が乾燥して不均一になっていたり、キメが荒れていると、肌表面に微細な影が発生。透明感が損なわれ、濁ったような暗い印象の肌になる。