最後に、憩室炎の診断、治療について山口さんに解説していただきました。
診断では、「大腸内視鏡検査などで憩室があることがわかっている、腹痛もある、血液検査で炎症反応があるなどの条件がそろうと、憩室炎を疑います。必要に応じてCT検査を行うこともあります。ただ、憩室から出血が起こっていても、腸のどの憩室から出血しているかを特定することは困難な場合も多いですね。また、憩室出血のほとんどは自然止血するため、実際に内視鏡で観察した場合には既に止血している場合も少なくありません」
治療では、「絶食をしたり食事量を減らしたりして安静にし、抗生物質を投与することでほとんどが治ります。一度憩室炎を経験し、同じような痛みが出ると、用心して早めに受診される患者さんもいます。重症例として、腸に穴が開いてしまった場合には手術になります。絶食と抗生剤で出血が止まらないケースでは、内視鏡検査で止血することもあります」
憩室炎は、女性よりも男性、そして高齢者に多い傾向がありますが、女性にもないわけではありません。食生活の欧米化(食物繊維不足)も一要因で、近年、大腸憩室保有者は増加傾向にあるとも言われています。多い人では、何十個と憩室ができる場合もあるそうです。下腹部の痛みや出血が続く場合には、放置せず病院で診てもらいましょう。