お米を中心にした和食が、 日本人の胃腸を元気にする。
撮影・小出和弘
次に、たんぱく質の摂り方について聞いてみた。動物性たんぱく質は魚から摂るのがいいとのことだが、肉はまったく摂らなくていいわけではない。
「肉は脂肪分が多いですし、体内でのコレステロールの合成を高めるなど心配な点が多いです。しかし、肉を食べないと筋肉が落ちて、とくに高齢者は転倒の危険などが高まります。肉と魚を1対1から1対2くらいのバランスで摂るのがよいでしょう。夕飯だけで考えると、週に3日を肉のおかず、4日は魚のおかずにする、と考えてください」
日本人が昔から食べ続けてきたものといえばお米のほかに大豆製品がある。
「大豆に含まれる植物性たんぱく質は質のよいたんぱく質。1980年代に、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の摂取比率が1対1になったのですが、この頃から日本は長寿世界一になっています。このくらいのバランスを心がけて摂ればよいと思います」
一食の献立を考えるとき、炭水化物、たんぱく質、脂質の割合はどのくらいにすればよいのか。
「日本糖尿病学会の指針によると、全カロリーのうち50〜60%を炭水化物から摂取することが推奨されています。また現在27%を占めている脂質を1970年代の15%まで減らすことを目標にしましょう。その残りをたんぱく質と考えると、炭水化物:脂質:たんぱく質の理想的な摂取比率は4:1:2くらい。これは摂取カロリー全体に占める比率であり、見た目の量ではないので注意してください。三食のバランスについては神経質になりすぎず、柔軟に考えて。1日、1週間、1カ月単位で何をどれだけ食べたかが重要です」
日本人が慣れ親しんできた和食中心の食生活を心がけることが、私たちにとって健康の早道と言えそうだ。
『クロワッサン』956号より
●奥田昌子さん 内科医/健診センターに勤務、その傍ら医学文献、医学書の翻訳も手がける。近著に『欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)がある。