食事を見直すなら運動も併用したい。
「動ける体を維持するには、ストレッチで日常生活に必要な体の機能をアップさせる必要があります」
と、ストレッチ指導の専門家、山本利春さんは言う。
「とくに、ものを持ち上げる動作の要となる肩甲骨周辺、パソコン作業やスマホの使用で縮みがちな胸、体重を支える太ももや姿勢を維持する脊柱まわりなどは日常生活動作を支える部位。上半身、下半身、体幹の筋肉をまんべんなくほぐすことが重要です」
ストレッチに期待できる最大の効果のひとつは柔軟性の維持、それによる血行の改善だ。
「筋肉が固くなって使いにくくなると、動くのが億劫になります。そうなると血液循環が悪くなり、ますます筋肉は固くなり、疲労が溜まるという悪循環に。私たちの研究では、ストレッチをするだけでも筋肉の萎縮をある程度抑えられるという結果も出ています」
筋トレとまではいかずとも、毎日ストレッチをすることで筋肉の衰えを防ぎ、動ける体づくりに役立てることは充分可能。ひいてはそれが健康や老化防止の後押しになる。
やり方のポイントは息を止めないこと。3秒間息を吸って3秒間息を吐く。これを1呼吸としてストレッチのポーズを5呼吸分キープ。気持ちいいと感じる範囲で伸ばすことが基本。
【上半身】疲れが溜まった肩甲骨まわりと胸。こまめにほぐして凝りを解消。
ものを持ち上げたり衣服の脱ぎ着をするときに中心的に働く肩甲骨周辺の筋肉。デスク作業やスマホで縮みがちな胸の筋肉。
「それだけに張りやすかったり疲労が溜まりやすい部位でもあります。ストレッチでほぐすことで動作がスムーズになり、姿勢の改善に繋がります。日頃の肩こりや猫背の解消にも有効です」