日々気になる諸症状……これって更年期? ツムラ漢方記念館で学ぶ、ゆらぐ私を整える漢方の知恵
文・クロワッサン編集部
実は日本生まれ! 女性に寄り添い続ける漢方の歴史
東京から約1時間半。茨城県稲敷郡にある〈ツムラ漢方記念館〉を初めて訪れました。ここは1992年、医療関係者向けにオープンした「漢方」について学べる記念館。2025年には17年ぶりにリニューアルされ、感覚的な体験ができる展示が拡充されました。
まず驚いたのは、「漢方」は中国の医学である「中医学」とは異なり、5〜6世紀ごろに中国から伝来した医学をベースに、日本の風土や日本人の体質に合わせて独自に発展していったものだということ。
江戸時代にかけて現在の形へと体系化され、日本人の心と体を支え続けてきた漢方。その長い歴史のバトンを受け継ぎ、近代において漢方の力を広く世に知らしめたのがツムラです。
国内の医療用漢方製剤市場において、国内の医療用漢方製剤のリーディングカンパニーであるツムラの原点は、1893年に発売された婦人薬「中将湯(ちゅうじょうとう)」にあります。創業者の津村重舎が「(当時)家庭の中心の女性が健康であることが、社会の活力となり、心豊かな社会が創られる」という強い信念のもと販売したこの薬。ホルモンバランスの乱れによる女性特有の症状がある場合に服用するものです。
明治時代、西洋医学の台頭により漢方は一時衰退の危機に陥りますが、「良薬は必ず売れる」という想いを胸に、一部の医師たちとともに脈々とその伝統は受け継がれました。ツムラは130年以上前から女性の健康に寄り添ってきたのです。
検査で異常がない「なんとなく不調」こそ漢方の出番
記念館では、つくばウロケアクリニック院長の黄さんによるセミナー「ライフステージに伴う様々な症状と漢方」も受講。
「感染症や手術が必要な病気は西洋医学が優先されますが、冷えや月経不順、更年期症状、慢性疲労など“検査では異常が出にくい機能的な不調”に対しては漢方が向いているかもしれません。漢方のみで治療を行うのではなく、あくまで西洋医学の“補助輪”として、より細かな諸症状に対応するものと考えています」(黄さん)
病名のつかない「なんとなく不調」と上手くつきあっていくための心強い味方として、漢方は私たちの毎日の生活の質をそっと底上げしてくれるはずです。
女性の体は「7の倍数」で変化する? ゆらぎを支える「腎気」の働き
セミナーの中で特に興味深かったのが、漢方における「ライフステージと体の変化」の捉え方です。中国の古い医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』によると、女性の体は「7の倍数」の年齢で節目を迎えるとされています。
14歳で初潮を迎え、28歳で女性としての体が最も充実するピークに。そして35歳から顔のくすみや抜け毛など少しずつ衰えがみえ始め、42歳で白髪が目立ち始め、49歳で閉経を迎える……。
漢方では、生命力や成長、生殖機能をつかさどる根本的なエネルギーを「腎気(じんき)」と呼びます。この「腎気」が、まさにこの7の倍数のサイクルに沿って変化していくのです。つまり、私たち40〜50代が感じる「疲れが抜けない」「白髪が増えた」「冷えやすくなった」といった不調は、単なる気のせいではなく、年齢とともに「腎気」が低下する「腎虚(じんきょ)」という自然なサインなのだそう。“歳のせい”と片付けられがちなゆらぎも、漢方の世界では何千年も前から体のシステムとして理解されていたのです。
ゆらぐ世代——私にぴったりの漢方を見つけよう
女性ホルモンの減少や「腎気」の低下によって、心身が大きくゆらぐという人も多い40~50代。同じような不調でも、体質によって合う漢方薬は異なります。例えば、疲れやすくてイライラしてしまう気分の乱れには「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。冷え症で貧血気味の方には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。血行の滞りによる手足の冷えやのぼせ、肩こりがある方には「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが代表的です。さらに、加齢に伴う「腎虚」の症状(足腰の冷え、かすみ目、頻尿など)には「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などが頼りになります。
漢方は植物や鉱物など自然由来の「生薬」から作られており、長年にわたって多くの人の体を整えてきた知恵の結晶です。最近なんだか調子が出ないと感じたら、それは体が発するサインかもしれません。
“歳だから”と諦めず、「今の私に合う漢方はどれだろう?」という好奇心を持って、日常に取り入れてみませんか。漢方はきっと、これからの人生を健やかに楽しむための、心強いパートナーになってくれるはずです。
取材協力:ツムラ漢方記念館
住所:茨城県稲敷郡阿見町吉原3586
※基本的に一般見学は実施されていません。バーチャル漢方記念館で館内を疑似体験してみてください
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