春の不調を解消したい!からだの中から整えるオイル活用術を医師が解説
文・写真 神野恵美
子どもの進学・卒業や仕事面での変化、さらには天気や花粉など環境の変化で、生活が乱れがちな春。心身に不調を覚える人は少なくないだろう。そんな時こそ大切なのが“インナーケア”だ。
脂質(油脂)栄養の役割と健康価値や、日常生活での摂り入れ方を情報発信する組織「ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアム」が3月24日に開催したセミナー、「医師本人が実践!インナービューティーメソッド・レッスン」では、健康・美容分野で活躍する2人の女性医師が、“オイル”をテーマにしたインナービューティーメソッドを解説した。
老化のペースには個人差がある
第一部の「美肌は内側からつくる時代!“炎症×老化”を防ぐオメガ3・アマニ油」と題して講演したのは、消化器内科医・美腸・美肌評論家の工藤あき先生。
はじめに工藤先生は、ニュージーランド・ダニーデン地方で生まれた同年代1,037人を対象に実施された健康追跡調査を紹介。それによると、1年間で老化が0.4歳しか進まない人がいる一方で、2.44歳も進む人がいることが明らかになったという。また、老化の進行が速い人ほど、見た目も老けて見える傾向にあるそうだ。つまり、この研究は老化のペースには個人差があることを証明したのだという。
「からだの“中の状態”と“見た目”は密接に関係があります。食生活の乱れは体内のトラブル、そして肌のトラブルへつながります」と工藤先生。さらに、その大きな要因の1つは「食生活にある」と話す。
老化を防ぐ3つのポイント
工藤先生によると、食事で老化を防ぐポイントは「糖化」「酸化」「炎症」の防止にある。
「糖化はからだの“焦げ”。これを防ぐのは、血糖値の急上昇を防ぐ低糖質・低GI値食品。酸化はからだの“錆び”で、ポリフェノールなど抗酸化食品で抗酸化力を補うことができます。炎症はからだの“火事”。これを防ぐには、オメガ3脂肪酸が有効です」
「美肌の本質は、身体のめぐりを整えることにあります」と工藤先生。ポイントは、血流、腸内環境、細胞の新陳代謝を促すことにある。オメガ3には血流をサラサラにして、整腸作用と肌の新陳代謝を促す効果があるとのこと。美肌を下支えする、いわば“めぐりの潤滑油”と評する。
「細胞の膜(細胞膜)は脂質(油)からできています。細胞膜には、栄養素や水分を取り込んだり、細胞内の老廃物や有害物質を排出する役割があります。そのため、細胞膜が硬いと、栄養や老廃物が出入りできなくなります」
オメガ3の特徴として、折れ曲がった分子構造を持つことが挙げられる。この構造が細胞膜を柔らかくするように機能するため、適度に摂取することで体内に栄養や水分を取り込みやすくなり、老廃物も排出しやすくなる。
加えて、オメガ3には赤血球を柔らかくする働きもあり、酸素を運ぶ赤血球が身体の隅々まで行き渡ることで血流もスムーズになるという。
また、“美肌成分”として知られる「Developmental Endothelial Locus-1(DEL-1)」は、炎症を抑制し、組織の恒常性を維持する役割を果たす重要なタンパク質だが、加齢に伴って体内での生成量が減少していく。しかし、最新の研究結果ではオメガ3を摂取することで、DEL-1が有意に増加することがわかったという。他にもオメガ3には肌の潤いを保ち、紫外線によるダメージを軽減する効果もあるそうだ。
飲む美容液「味噌」とオメガ3を合わせてみると?
このオメガ3の効果的な摂取でおすすめの食材が、アマニ油やえごま油だ。小さじ1杯程度を摂取することで、アジ約3匹分に相当するオメガ3を摂取できるという。さらに、工藤先生おすすめのオメガ3の摂り入れ方が味噌汁に入れること、だ。
「味噌汁を飲むと、腸に善玉菌を増やすことができます。さらに、善玉菌のエサになるオリゴ糖も含んでいるので、腸内で一人二役の働きをするんです。味噌汁はまさに“飲む美容液”といえます」
ほかにも、多忙であってもすぐに採り入れられるメニューとして「アマニ油やえごま油を使用したドレッシングのサラダは、コンビニでも買うことができます」と紹介した。
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