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股関節と膝を意識した効率的で賢い栄養の摂り方

股関節と膝を支える健康な筋肉と骨を作るには食事も大切。効率よく栄養を摂取するための秘訣をお届けします。

撮影・澤木央子 スタイリング・中村弘子 構成&文・singt

「介護を必要としない健康寿命を延ばすポイントの一つは、股関節と膝関節機能の温存。運動習慣の維持と、骨密度や筋力をサポートする食事が不可欠です」

と、医師の渡邉美和子さん。

「女性は50歳頃から女性ホルモンのエストロゲンが減少し、骨が脆くなる傾向に。カルシウムは吸収率を上げるビタミンDなどを組み合わせて摂ると効率的です」

「また、加齢に伴い筋肉が衰えると骨に負担がかかるので、筋肉を作るたんぱく質も毎食しっかり取り入れて。痛みや骨粗鬆症を予防・ケアする栄養が豊富な食材も覚えておきましょう」

時間がない時は卵で手軽にたんぱく質を

「パンや麺など単品になりがちな朝や昼の食事には、パッと食べられる卵をプラスしてみて」(渡邉さん)。卵1個で約6gと、効率よくたんぱく質が補える。

「以前は1日1個までとされていましたが、食品から摂取するコレステロールが血中コレステロール値に与える影響は比較的小さいと近年の研究でわかったため、健康な人であれば1日2個程度なら食べて問題ありません」

また、「ほぼ完全栄養食」と呼ばれる卵は、カルシウムとビタミンDも含んでいる。

不足しがちなビタミンDはきのこと魚缶で

カルシウムはビタミンDを同時に摂ることで吸収率が上がる。日光を浴びることで体内でも作られるが、

「日焼けを気にする日本人女性は不足しがちなので、食べ物から積極的に摂りましょう。魚に多く含まれ、缶詰ならカルシウムたっぷりの骨も丸ごと食べられます。魚の油『EPA』は抗炎症効果が強く、痛みがある場合にもおすすめです」

「また、きのこもビタミンDが豊富ですが、天日に当てるとさらに増えるので、調理前に1〜3時間干しておくと効率的」

カルシウムは小魚や野菜からも摂ることができる

カルシウムというと、すぐに連想するのは牛乳。

「確かに乳製品はカルシウムの吸収効率が良いのですが、体質的に合わないという日本人が少なくありません。体が受け付けないのに、無理をして乳製品から摂る必要はなく、野菜や小魚などを食べるとよいですよ」

「野菜では、かぶの葉、小松菜、春菊といった青菜類にカルシウムが多く含まれます」。

小魚類はしらすや桜えびなどにカルシウムが多く、乾物なら干す過程で栄養が凝縮し、さらに含有量が増える。

大豆加工品ならたんぱく質や様々な栄養が豊富

豆乳や納豆、豆腐、厚揚げなどの大豆加工品は、筋肉を丈夫にするための様々な栄養を手間をかけずに摂れるのが魅力。

「良質な植物性たんぱく質が豊富で、肉にはほとんど含まれないカルシウムや食物繊維も多く含んでいます。また、エストロゲンに似た働きをするイソフラボンを含み、骨のカルシウム量の減少を抑える効果があり、鉄が摂れるのも特徴」。

鉄は体じゅうに酸素を運び、骨の細胞が新しい骨を形成する時に正常に働くようサポートもしてくれる。

腸内環境を改善し、栄養吸収を助ける水溶性食物繊維

山いも、めかぶ、オクラ、納豆などの“ねばねば”食品。これらは水溶性食物繊維を多く含み、便秘の予防や改善に役立つ。

「また、善玉菌の餌になり、善玉菌が増えることで腸内環境が整って、今、注目されている代謝物質『短鎖脂肪酸』が作られます。すると腸内の㏗が酸性に傾き、カルシウムなどのミネラルの吸収率が高まります」。

短鎖脂肪酸には基礎代謝の向上や体脂肪を減らす働きも。軽やかで活動的な体になれば、骨と筋肉のさらなる強化につながる。

たんぱく質の活性化に必須のビタミンK

骨にカルシウムを結びつけるたんぱく質「オステオカルシン」を活性化させるビタミンK。

「骨粗鬆症の患者さんにビタミンKを処方することもあるほど、骨の密度を高めて、骨を強くするために欠かせない栄養素です。食品では豆苗や貝割れ菜などのスプラウト類、ブロッコリー、ケール、キャベツなどのアブラナ科の野菜や納豆に豊富」

「これらに比べると少ないですが、アボカドもビタミンKを含み、さらに、軟骨の修復に役立つ効果が期待できる栄養も摂れます」

股関節と膝を意識した効率的で賢い栄養の摂り方

・きのこは天日干しするとビタミンD量がアップ
・卵はほぼ完全栄養食で優秀なたんぱく源
・魚缶は痛みを緩和するEPAが簡単に摂れる
・かぶの葉はカルシウムが豊富
・カルシウム&たんぱく質が同時に摂れる大豆加工品
・カルシウムの吸収がよくなる、ねばねば食品
・スプラウトのビタミンKは骨粗鬆症の予防に
・軟骨の修復に役立つアボカドのTGF-βに注目

  • 渡邉美和子

    渡邉美和子 さん (わたなべ・みわこ)

    内科医師

    医療法人社団ミッドタウンクリニック理事。内科診察での生活習慣指導を行うほか、企業との健康関連事業で監修などにも取り組む。

『クロワッサン』1135号より

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