内臓のストレッチで腸を元気に、1分太極拳に辛酸なめ子さんが挑戦・実感。
その根拠を確かめるべく辛酸さんが教室の門を叩く!
撮影・小川朋央 ヘア&メイク・大谷亮治 構成&文・堀越和幸
基本の動きを覚えたら、本格的な太極拳にも挑戦してみよう。
第二弾錦(だいにだんにしき)
鷹を弓で射るようなイメージの動き。腰をしっかり落とし、胃や腸に内から刺激を与える。
楊さんの教える〈楊名時太極拳〉には太極拳と併せて〝八つの健康体操〟ともいえる八段錦を行う。その中の第二弾錦は、本来、心臓や肺の機能を高める動きだが、腸への効果を期待してこの動きに注目をする。
「大きく足を開いて中腰になる〝騎馬立ち〟という動きをすることが特徴です。息を吐きながら沈み込むことで、より呼吸が深くなり、お腹に効果的な刺激を与えることができます」
コツはゆっくり動き、ゆっくり呼吸をすること。動作は常に背筋をまっすぐに、を意識しよう。
足を大きく開いて立つ。
前に出した両手をゆっくり下げながら、腰を落とす。馬に跨るイメージ。
両手で拳を握りながら立ち上がる。
両手をクロスさせ、左手でV字を作る。
大きな鳥を弓で射る動き。胸を開き、V字の手を左に伸ばし、腰を落とす。
両手を戻し、立ち上がる。
両手と腰を下ろして、反対側も行う。
白鶴亮翅(バイホーリャンチー)
ウエストを意識して鶴が飛び立つように伸びやかに動くことで、体じゅうに気血が巡る。
八段錦ともう一つの種類が24式太極拳というもので、武術を背景とした動きになる。私たちが太極拳と聞いてイメージするのはこちらだろう。
「白鶴亮翅は24式の一つです。鶴が大きく羽を開くような動作をするのでこの名前がついています。ぱっと見は手が動きをリードしているように見えますが、実はお腹のひねりが肝で、手は腰の動きに連動しています」
このひねりの動きに腸活効果が期待できる。〈楊名時太極拳〉の授業では八段錦と24式を一緒に行うが、ここでも組み合わせてチャレンジしてみよう。
左足を前に出し、重心を乗せる。左手は前に。
右足を半歩寄せて、重心を移す。
右足に重心を乗せ、左のつま先を軽くつける。
右手を上に左手を下に下ろす。
右手で大きな弧を描きながら、上体を右にひねる。鶴が翼を開くように。
「アンチエイジングにもなりそうです」(文・辛酸なめ子)
楊玲奈先生のクラスは和気あいあいとした空気でした。太極拳で平和な気持ちになれるのでしょうか。やってみるとゆったりした動きで、舞踊を思わせる優雅さもあり、運動が苦手な私も見よう見まねでついていけました。内側からじわじわと温まり、最近張っていた腸も緩んだ感が。
その後、家でも実践してみたら、朝から気が焦っていたのが、太極拳でいったん気持ちを落ち着けて、余裕を持って仕事が始められるように。つい時短癖でスピーディに太極拳しそうになるのを、先生の動きを思い出して、スローな動きを心がけています。座り仕事で体が固まっていたのが、スワイショウの簡単な動きでほぐれてきました。片手を上げて深く呼吸すると胃腸が刺激される、というのも知らなかったです。太極拳で腸も快調に。
何より楊玲奈先生だけでなくお母様の楊慧先生もすごく若くて、ゆったり動くと時の流れも遅くなるのでしょうか? アンチエイジングのためにも続けたいです。
『クロワッサン』1098号より