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カリウムと食物繊維が豊富、昆布の健康効果と4つのおすすめレシピ。

食物繊維を摂るならミネラル、たんぱく質、不飽和脂肪酸が豊富な海藻がおすすめ。
海藻に詳しい宮下和夫さんに昆布の健康効果を聞きました。
カノウユミコさんのレシピと一緒に紹介します。
  • 撮影・青木和義(カノウユミコさん、料理) 文・葛山あかね スタイリング・渡邊美穂(料理) 器協力・UTUWA TEL.03-6447-0070

日本人になじみ深い食材の一つ。グルタミン酸を豊富に含み、風味豊かなだし素材になるほか、料理の具材としても活躍。

じっくり煮込むことで味を含み、旨くなる。

昆布といえばだしである。味噌汁や煮物に風味豊かな昆布だしは日本人になくてはならぬもの。

「昆布がおいしいのは、ミネラルのなかでもとくに塩味をもつカリウムやナトリウムを豊富に含み、そこに旨味の素となるグルタミン酸がプラスされるから。いうなれば〝おいしい塩味〟を醸し出すことができる」と宮下さんは言う。

「昆布は野菜でいうなら根菜類でしょうか。わかめやもずくが、火を入れすぎると味や食感、素っ気もなくなるのに対して、昆布は味を含んで旨くなる。じっくり煮込んだり、煮汁の中で落ち着かせて味を染み込ませたり。そんなイメージで料理するといいのでは」

そう話すカノウさんがまず作ってくれたのはなんとカレー!

「じゃがいもを入れるタイミングで昆布を入れクツクツ煮込みます」

また酢を使うと短時間で柔らかくなる裏技も披露してくれた。

ちなみにカノウさんは昆布を漬け物にも利用。旨味となるだけでなく、昆布自体が乳酸発酵するため「毎日のように、生きた菌を美味しく摂ることができますよ」。

柔らかく、火の通りやすい「早煮昆布」。
だしを引く場合は利尻産や羅臼産など肉厚なものを。産地によって味わいが違うのも特長。
細切りにした「きざみ昆布」。
のまま調理できる使い勝手のいい「切り昆布」まで。

一口に昆布といえども出回っている商品は多種多様。
用途に合わせて選ぶといい。

(おかず)切り昆布のナムル

生の切り昆布は、戻す必要がないので、短時間で調理ができて便利です。
さっぱりとした昆布を薬味と炒めて、ご飯が進むおかずにしました。
切り昆布の代わりに乾燥のすき昆布10gを戻して使っても。

【材料(作りやすい分量)】
切り昆布(生。食べやすい長さに切る)…… 150g(生)
ごま油 …… 大さじ1
長ネギ(みじん切り)…… 5cm
にんにくのすりおろし …… 少々
醤油 …… 大さじ1
白すりごま …… 大さじ1
塩、一味唐辛子 …… 各少々

【作り方】
1.
フライパンにごま油を熱し、長ネギとにんにくを香りが出るまで中火~弱火で炒める。
2.昆布を加えてさっと炒め、醤油、白すりごま、一味唐辛子を加え、水分がなくなるまで炒め煮し、塩で味を調える。

(常備菜)昆布のバルサミコ佃煮

バルサミコ酢を使ったワインにも合う佃煮。酢を使うとやわらかく仕上がります。だしをとった昆布でも作れます。

【材料(作りやすい分量)】
早煮昆布(袋の表示に従い戻し3cm角に切る)…… 20g(乾物状態)
バルサミコ酢 …… 大さじ1
醤油 …… 大さじ1(加減する)
胡椒 …… 少々

【作り方】
1.
鍋に早煮昆布、バルサミコ酢、水1カップ(分量外)を入れ、沸騰したら蓋をし、弱火で10分煮る。
2.醤油を加え、アルミホイルなどで落とし蓋をし、煮汁が少なくなるまで弱火で煮詰め、仕上げに胡椒をふる。そのまま冷まして味をなじませる。

(ごはん)昆布ときのこのトマトカレー

煮込むことで昆布の旨味がじんわり広がる!
結び昆布にすることで肉にも負けない食感と満足感に。

【材料(2人分)】
早煮昆布(袋の表示に従い戻して結ぶ)または、おでん用昆布 …… 20g(乾燥状態)
玉ねぎ(うす切り)…… 1/2個
しめじ(石づきを除き小房に分ける)…… 100g
トマト(ざく切り)…… 1個
油(サラダ油や菜種油)…… 大さじ1
カレールゥ …… 2かけ
水 …… 2カップ

【作り方】
1.
厚手の鍋に油を熱し、玉ねぎを少し色づくまで中火で炒める。しめじとトマトを加えさらに1分ほど炒める。
2.水と昆布を加え、沸騰したら蓋をし、昆布がやわらかくなるまで弱火で15~20分煮る。
3.火をとめ、カレールゥを加え、弱火でとろみがつくまで煮る。

かぶの千枚漬け

写真は2日目。昆布とかぶが乳酸発酵し、ほどよい酸味と旨味の漬け物ができあがる。

【材料(作りやすい分量)】
かぶ …… 大きめ1個
塩 …… かぶの2.5%
だし昆布(羅臼昆布、利尻昆布など)…… 適量(小さめに切る)
赤唐辛子の輪切り …… 少々

【作り方】
1.
かぶは2~3mmの薄切りにして全体に塩をまぶしバットなどに並べ、ラップをして一晩塩漬けにする。
2.1をざるにあげ、自然に水を切る。(1時間くらい)
3.1に昆布と赤唐辛子を適当に重ね、密封保存袋などに入れて20~25度くらいの温かい部屋で乳酸発酵させる。(2~3日)
4.酸味が出たら冷蔵庫で保存する。

宮下和夫

宮下和夫 さん (みやした・かずお)

帯広畜産大学 産学連携センター 特任教授

アカモク研究の第一人者。海藻に含まれる色素成分・フコキサンチンの効果・効能を解明したことは世界的に有名。好きな海藻料理は生の岩海苔を豆腐と煮込み、醤油で味つけした鍋。※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

カノウユミコ

カノウユミコ さん

料理研究家

鳥取県出身。海の近くの町で育ち、幼少期から海藻は常に身近な存在。精進料理やベジタリアンに興味を持ち始めてからは、海藻の実力に改めて着目。変化に富んだ多彩な料理を提案してくれる。※プロフィールは雑誌掲載時の情報です。

『Dr.クロワッサン 強い腸をつくる、発酵食の摂り方大百科。』(2021年2月18日発行)より。

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