腸の健康や骨粗鬆症の予防にも、チーズはすぐれた栄養食【発酵食大図鑑】
乳酸菌が豊富でビタミンも摂れるすぐれた栄養食。
撮影・青木和義、黒川ひろみ 文・韮澤恵理
疲労回復や老化に勝つおいしい栄養剤。
牛乳や、やぎ、水牛の乳などをレンネットというたんぱく分解酵素によって凝固させたものをプレスし、水分を減らしたものがチーズ。乳酸菌、牛乳の良質なたんぱく質、カルシウムなどが摂れるので、腸の健康維持だけでなく、骨粗鬆症の予防などにも役立ちます。さらに発酵や熟成が進むと、栄養素が増え、消化もよくなることもわかっています。
白カビや青カビのついたチーズは、カビが作る酵素が風味や味わいを生み、水分を抜いて固く熟成させたチーズは熟成の過程でビタミンが増えます。疲れた日は、ハードタイプのチーズを一口食べると、栄養剤より効果があるともいわれます。日持ちもするので、買っておきたい発酵食です。
ただし、塩分が高いものも多く、高カロリーで脂質も多いため、食べすぎれば肥満や脂質異常症を招くことがあります。適量を守ること。熟成チーズは強い旨みがあるので、料理の味つけに利用するのもいい。そのまま食べるなら、一口程度が適量です。
(注目の健康効果)
●乳酸菌が腸で働く
チーズは乳糖を乳酸菌が分解して乳酸を作り、たんぱく質を固めるレンネットという酵素の働きを助ける。乳酸菌が摂れるので腸を元気に。
●栄養素が凝縮
チーズは必須アミノ酸をバランスよく含み、ビタミンB群やカルシウムもしっかり摂れる栄養素の宝庫。少量でも効果抜群。
●熟成するほど高栄養
フレッシュチーズは乳酸菌とたんぱく質が豊富。白カビや青カビをつけたり、長期熟成させると、分解されて栄養価が高くなる。
【チーズができるまで】
(A)乳酸菌が作った乳酸とレンネットという酵素の働きでたんぱく質が固まる。
(B)できあがったチーズの表面にカビ菌を付着させてさらに寝かせる。
(C)熟成すると、独特の香味と旨みが凝縮し、ビタミンなどが増加。
[フレッシュチーズ]
乳が固まったら、水分(ホエイ)を除いて塊にしたもの。熟成はさせていないフレッシュタイプ。モッツアレラチーズなど。
[白カビチーズ]
フレッシュチーズを型に入れてさらに水切りし、表面に白カビをつけて繁殖させたもの。カマンベールチーズなど。
[青カビチーズ]
熟成中に青カビを繁殖させたチーズ。カビが脂肪を分解し、特有の匂いがあり、ビタミンAやB2、ミネラルも豊富。
[ハードタイプチーズ]
水分が38%以下になるまで熟成させたチーズ。ビタミンが豊富で、乳糖不耐症でも食べられる。パルミジャーノチーズなど。
『Dr.クロワッサン 強い腸をつくる、発酵食の摂り方大百科。』(2021年2月18日発行)より。
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