米や穀物を麹菌や酵母の力で酒にし、そこに酢酸菌を加えると、アルコールが酢酸に分解されます。これが酢です。
酢酸は食べたものを長く胃にとどまらせ、小腸への移動もゆるやかにさせるので、急激な血糖値の上昇を抑え、高血糖や肥満の改善につながります。
また、糖がエネルギーになるのを助け、内臓脂肪として蓄積されるのを抑えてくれます。こうしたことからメタボや生活習慣病が気になる世代の健康を支える発酵食品として、注目を集めています。すばやくエネルギーに変わるので疲労回復にも役立ちます。
また、強い酸性で、雑菌が繁殖しにくく、食物の保存性を高めてくれるから、昔から洋の東西を問わず、酢漬けや酢締めが保存食として活躍しています。塩分の力を借りなくてもいいのが健康面では一番のメリットでしょう。
酢は、原料が穀物の酢と果実の酢に大別されます。日本の酢は、米や穀物が原料。穀物のでんぷんは、そのままでは酵母に分解できません。そこで麹菌の力を借りてまず酒を作り、さらに酢酸菌を使って酢にします。
西洋で発達した果実の酢は、果汁の糖分が自然に発酵し、酢酸菌が加わって酢になります。
日本の酢の主流は、麦、米、とうもろこしなどの穀類を使った穀物酢や米酢です。最も一般的な穀物酢はクセがなく使いやすいのが特徴です。いずれも炭水化物とたんぱく質の両方を発酵させているので、アミノ酸による独特の旨みがあります。
好みや目的、あるいは食材との相性で選ぶと、よりよい「お酢生活」になります。