女優・羽田美智子さんの朝の習慣、ラジオ体操。さらに効果的にする体の動かし方を教わりました。
そのために実践していることを、羽田美智子さんに聞きました。ぜひ日々の参考に!
撮影・青木和義 ヘア&メイク・森上マリコ スタイリング・入江未悠 構成&文・中條裕子
「もう4年ほども朝のラジオ体操を習慣化しています」
「ラジオ体操は第一と第二を10分、あとは腕立て伏せを40回と片足立ちを左右2分ずつ」、それが朝の習慣になっているという、羽田美智子さん。
舞台に出ていた際に自らの体力のなさを痛感し、もう4年ほど続けている。
「腕立て伏せはまず20回やって、いったん休んでストレッチをして、もう20回。ずっと続けていると背中が凝るので、途中で一度伸ばすようにしています。腕立て伏せを2セットやった後は、片足立ちを左右それぞれ2分間ずつ。あえて目をつぶってバランスをとりにくくして。片足立ちは整体の先生に教えてもらったんです。女性はインナーマッスルが弱いので内臓疾患になりやすいから、と。これで体幹もしっかり鍛えることができます」
こうしたエクササイズは自宅ででき、毎日続けられるのもいいところ。時に数日空いても大丈夫、そうした緩さも続けるうえで大切なことだという。
「周囲が不調を抱える年齢になってきて、女性は骨盤底筋が緩んだり膝関節症になっていくんだなと目の当たりにすることが多くて。これを食い止める方法を40、50代からやっておくと心強いかな、と思うようになりました」
いつものラジオ体操をより効果的にする体の動かし方とは?
舞台前に共演者全員で毎朝ラジオ体操をしていたことをきっかけに、今ではそれが習慣化しているという、羽田美智子さん。自己流だけど大丈夫なの? 今よりもう少し下半身を鍛えたいけれどどうしたら? そんな疑問を、豊富な運動指導の経験を持つトレーナーの西村典子さんに聞いてみました。
羽田 舞台で泣いたり笑ったりしていると、体力が必要なんです。意外とアスリートなんですよね。2時間ステージをやると、立ち上がれないくらい。
西村 過酷な肉体労働ですね。
羽田 何日も続くし。いかに体力がないかを思い知らされました。
西村 それで基礎体力をつけるためにラジオ体操を続けているのでしょうか?
羽田 舞台が終わってやめてしまうのももったいないなあと思って。
西村 まずは続けることが大事です。
羽田 朝起きてラジオ体操をやると、「ここが痛いのは、こんな姿勢で寝ていたからかな」とわかるんです。調子が悪いからやらない、ではなく調子が悪いからやる。動くと楽になるんです。
西村 その日のコンディションがラジオ体操でわかるんですね。
羽田 足が重いな、体がだるいなとか、今日は調子いいなどがわかりますね。
西村 それが理解できるのはすばらしいことだと思います。
羽田 人間の体は毎日同じではないですから。天気や前日食べたもの、仕事量などにより毎日波があって。舞台で疲れてしまい体がもうだめかなと思うと、それがトレーニングになっているのか、5日くらい経つと脂が乗ってきたりもするから、体って不思議です。
西村 まさにアスリートですね。
羽田 舞台のときは「これはトライアスロンだね」って、みんなで言っていたんです。会話劇で笑って始まり、事件が起きてわーっと泣いたかと思うと、今度は走ったりして。体をメンテナンスしてないともたないですよね。女優はマッチョになるのではなく、心も含め、柔らかい筋肉が必要なんだなあと。
西村 しなやかな筋肉ですね。
羽田 それがこの職業に合ってるんじゃないかと思います。ピラティスやヨガをやっている女優さんも多いのは、同じ考え方なんだろうな、と。でも通うとなると行き帰りや着替えでどうしても時間を取られてしまうので、私は自宅でラジオ体操がちょうどいいですね。
西村 しなやかな筋肉という点では、ラジオ体操も良いエクササイズだと思いますよ。伸ばす、縮めるというメリハリの利いた動作があるし、基礎体力の強化にもつながります。ただ、ラジオ体操をする際には、動きがきちんとできているかのチェックも大切です。
羽田 ああ、正しくやれているかという不安はありますよね。
西村 たとえば、第一の2番目の動き「腕を振って脚を曲げ伸ばす運動」は、こうして脚を曲げるときに実は踵が浮いてる(下写真)。実際にやってみると、けっこう下半身にきませんか?
羽田 やってみると、確かに違う。ラジオ体操もフルでやったらすごくハードな体操になり得ますね。
村 負荷としては第二のほうが大きいんですよ。心拍数の設定が110〜130目安としているので、動きが違う。
羽田 第一と第二の間に入っている首の体操も意外といいです。音楽もリラックスして、眠くなってしまう。舞台のときもみんなあそこで眠くなってて。そうして副交感神経が優位になってリラックスしてからまた第二で活性化して、ってよくできてますよね。ラジオ体操、侮るなかれ、って思います。
西村 ラジオ体操は耳で聞いてなんとなく体を動かしていることが多いですけど、ユーチューブやNHKの番組などをきちんと見ると、正しい動きをチェックすることができます。
羽田 確認します。冬は起きた瞬間に体が硬くなってたりするんですけど、ラジオ体操でウォーミングアップしてから家事をやると怪我しないと思うんです。いきなり動くと、ゴミ出しでつまずいたりするかもしれないし。朝の5分は本当に大切な時間ですよね。
西村 そうですよ。そう考えると、ジムに通わなくても充分です。ただ、運動自体はいいけれど、よりよく体に効かせることも大事かと。
羽田 毎日同じ動きをしていると、人間はどうしても無意識に脳がつらさを回避してしまう気がします。私の腕立て伏せも、最初はできていなかったのに今40回やれているのはどこかでサボってしまっているのでは?と思うけれど、自分ではわからなくて。
西村 それは単純に筋力や筋持久力がついたということもあると思いますよ。40回できるのはすごいです。
羽田 いざというときのために。生きていると街の中は危険がいっぱいですからね。あとは下半身を強化したくて。効率いい運動はありませんか? 時間がない、ものぐさの人におすすめな。
西村 片足スクワットは自重でも負荷が強めです。
羽田 この間、低い山に登る仕事があったのですが、最初の階段でやられてしまい、本当につらくて。30段くらいの、幅の広い階段だったんです。それで、足腰を本気で鍛えないと、と実感しました。
西村 片足スクワットはお尻と太ももの筋肉が鍛えられますよ。
羽田 明日からいつもの朝のエクササイズに組み入れてみます!
ラジオ体操、ここが間違いがち!
ラジオ体操第一の「伸びの運動」は、頭の位置と姿勢がポイント。視線を上げ、踵を浮かさずに体を伸ばす。体が前傾しないように。
「体をねじる運動」は、下半身を固定した上で、視線を手先に向けながら大きく腕を振り上げる。腕の動きを流してしまわないよう注意。
「腕を振って脚を曲げ伸ばす運動」は、踵を揃えて浮かせたまま行う。腕を体の前で交差させる動きに気を取られて、踵の位置は意外と見落としがちなので、しっかり意識を。
『クロワッサン』1086号より
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