無意識にしている習慣を見直して塩分を上手に減らす、15の工夫。
撮影・小川朋央 文・田村幸子
一日に取っていい塩分は女性6.5g、男性7.5g未満、意識していないとすぐにオーバーしてしまう。
管理栄養士でフードコーディネーターの大島菊枝さんは、「WHOの世界基準は一日5g(小さじ1杯程度)とさらに少ないんです。日本では味噌汁、醤油、漬物と、塩分の高いものが好まれてきました。味噌汁を薄味にして具だくさんにしても、限界があります。味噌汁は飲まないという選択もあります」と言う。
たとえ濃い味に慣れ親しんでいても、「1週間もあれば、舌が薄味に慣れるので、食材の1%の塩分をまず試してみてください。大切なのは、いかに減塩を意識するか。日々の積み重ねで全然違ってきますから。薄味でもおいしく野菜を食べるには、新鮮なものを選んで、苦みやえぐみが出る前に調理すること。意外にも塩分が控えめな、マヨネーズも上手に使いましょう」
(ポイント1)蒸し野菜は、塩でなく味噌だれがおすすめ。
体を冷やさない蒸した野菜は、ボウル1杯分食べてもローカロリー。いかにもヘルシーに思えますが、実は意外な落とし穴が。
「何もつけずに食べればいいのですが、塩はついつけすぎてしまいます。味噌なら大さじ1が塩小さじ半分に相当するので、食べごたえがあります。薬味をプラスした味噌だれがおすすめです」と、大島さん。
味噌大さじ1で2人前。冷蔵庫に残っている薬味や無塩ナッツなどをみじん切りにして、味噌とまぜ合わせると味噌だれが完成。「カサも増して食感も楽しめますよ」
(ポイント2)醤油やソースはかけずに、小皿にとって。
揚げたてのとんかつやコロッケに直にソースをかけると、いかにも食欲をそそるが、「ついジャバジャバとかけすぎてしまいがち。まずは、少量のソースを小皿に注いでおき、少しずつつけて食べましょう」。
刺身は、必ず小皿の醤油につけて食べるのだから、要は慣れの問題。少量のからしやマヨネーズで味変するのもいい。
(ポイント3)酢玉ねぎなど、 塩分少なめの漬物に。
減塩を意識すると、ぬか漬けや味噌漬けは常食しづらい。そこで「塩を使わない甘酢漬けを箸休めにしてはいかが。減塩しながら血圧を安定させる酢玉ねぎがおすすめ」と、大島さん。
材料は、玉ねぎ1個に対して、酢1カップ、はちみつ大さじ3~4、塩少々。玉ねぎの薄皮をむき、薄くスライスする。ボウルに調味料を合わせて玉ねぎとなじませる。
「辛みは30分ほど置くと消えるので、玉ねぎは水にさらさないこと。漬けて1~2日目からが食べごろで、ドレッシングにまぜたり、肉料理のつけ合わせにも重宝します」(大島さん)
(ポイント4)保存系の煮ものは、 ポン酢で煮て早めに食べきる。
ポン酢で煮もの? と、戸惑うことなかれ。
「酢は加熱すると強い酸味がまろやかになり、コクが出て旨みが濃縮されます。市販のポン酢は醤油を柑橘や酢で割ってあるので、塩分は約半分になるのです」。
たとえば、ひじきの煮ものなら、せん切りにしたにんじんと水で戻したひじきを少量のごま油で炒め、いつもの醤油の代わりにポン酢を加えて汁けがなくなるまで煮たら完成。水煮大豆やこんにゃくを加えてもカサが増すのでおすすめ。
「長く保存しようと味を濃くしないで、1~2日で食べきれる分量を作りましょう」
(ポイント5)熱いものは、少し冷ましてから食べるといい。
火から下ろしたばかりの煮ものは、味がぼやけがちで、薄かったかな?と思ってしまうもの。
「肉じゃがなどはちょっとだけ冷ましてから食べると、減塩しても味の輪郭がくっきりして素材のおいしさが引き立ちます」。
湯気を逃がさないと舌を火傷しそうな熱さよりも、ひと休みさせてから食べるように意識するといい。
(ポイント6)サラダのドレッシングは、先にボウルで和える。
「ノンオイルやローカロリーのドレッシングだからと、安心してたくさんかけては、減塩にはマイナス」。
サラダを皿に盛りつけてから食卓でドレッシングをかけるのではなく、先に最適量の調味料をボウルに入れて、野菜を和えておく。
たとえば、韓国風のチョレギサラダ。葉物野菜を中心にきゅうり、青じそ、ネギ、わかめを合わせて300gに対し、酢大さじ1、ごま油大さじ1、醤油小さじ1、砂糖小さじ1、塩小さじ1/4、おろしにんにく少々。葉ものの水気はしっかり切っておき、手を使って混ぜると、さらにおいしくなります。
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