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塩を減らしてもっと美味しく。料理研究家・藤井恵さんの軽やか〝適塩〟生活。

減塩調理の先入観を颯爽と変えていく、藤井恵さんのレシピが話題。塩を減らすきっかけや健康アップの習慣まで、その毎日を深掘り。

撮影・青木和義 文・板倉みきこ

【藤井さんの毎日から見えてくる、減塩生活を楽しく続けるコツ。】

 外食は思い切り楽しんで 、その後の数日でコントロール。

塩分を気にするのは家庭のみ、と割り切るのも減塩生活を長く楽しく続ける秘訣かも、と藤井さん。

「せっかくの外食ですから、その場は楽しんで食べたいものを美味しくいただく。その分翌日の朝ごはんは控えたり、カリウムの多い野菜を食べたり、数日かけて塩分の摂取量を調整していけばいいと思います」

外食時は我慢せず、食べたいものを美味しく味わうのが藤井さん流。「ガッツリ塩味の麺類(上)や、八寸的なしっかり塩分のおつまみ盛り合わせ(下)などもいただきます」
外食時は我慢せず、食べたいものを美味しく味わうのが藤井さん流。「ガッツリ塩味の麺類(上)や、八寸的なしっかり塩分のおつまみ盛り合わせ(下)などもいただきます」

「塩を減らした美味しい柴漬け 、ただいま研究中。

今も、少ない塩分で満足できる調理法を日々模索中。

「ご飯の友として、もともと大好きな柴漬け。漬物はどうしても塩分が多くなりがちですが、減塩しても美味しいものが作れないか、通常の柴漬けを作りながら減塩バージョンも試しています。まだ納得の域には達していませんがその研究も楽しいんです」

上が塩分5%で作った通常の柴漬けで、下が塩分1%の減塩バージョン。色鮮やかで味は明快、パリパリの食感が魅力の柴漬けを、減塩でも仕上げるのが目標。
上が塩分5%で作った通常の柴漬けで、下が塩分1%の減塩バージョン。色鮮やかで味は明快、パリパリの食感が魅力の柴漬けを、減塩でも仕上げるのが目標。

「お酢と酵母エキス のドリンクは、体調管理のパートナー。

減塩だけでなく、毎日の体調管理に役立ってているのがお酢や酵母エキスのドリンク。

「2種類を飲むことでむくみ対策になっている気がします。黒酢は特にブランドを決めず、いろんなものを試して味の変化を楽しみ、飲み飽きない酵母エキスは『コーボン』という銘柄のものを家族全員で飲み続けています」

美味しい、というのも続けるポイント。夏は炭酸で割ってスッキリした喉越しを楽しむ。健康ドリンクは糖分が気になるものも多いので、選ぶときは注意したい。
美味しい、というのも続けるポイント。夏は炭酸で割ってスッキリした喉越しを楽しむ。健康ドリンクは糖分が気になるものも多いので、選ぶときは注意したい。

ちょっと贅沢? でもそれ以上の力がだしにはあります。

旨味の強いだしを使えば、醤油や塩に頼らずともふくよかな味わいに。藤井さんはかつお節や昆布、干し椎茸、干し焼きえびなど上質なものを厳選して作る贅沢なだしを使用。

「異なる旨味が組み合わさり、相乗効果でより強い旨味が生まれます。素材の良さも引き立ててくれるので、食事の楽しさも増しますよ」

香り高い濃厚だし。市販の顆粒だしは塩分が含まれているので、天然素材でだしを取ることが塩分を控えるための基本ルール。
香り高い濃厚だし。市販の顆粒だしは塩分が含まれているので、天然素材でだしを取ることが塩分を控えるための基本ルール。

これ、けっこう効きます。 階段の上り下り が毎日の筋トレ。

血圧を下げるには、活動量を増やして血流を改善することも大事。

「日々の生活の中でとにかく筋肉を動かすことを課題にしています。仕事場にある階段の上り下りはけっこうな筋トレになりますし、ドライヤーをかけるときはスクワットを欠かしません。この積み重ねで下半身の筋肉を鍛えています」

仕事場のキッチンスタジオからプライベートエリアに向かう階段は、絶好の筋トレスペース。背筋を伸ばし、全身の筋肉を意識して上り下り。一日に何度も往復している。
仕事場のキッチンスタジオからプライベートエリアに向かう階段は、絶好の筋トレスペース。背筋を伸ばし、全身の筋肉を意識して上り下り。一日に何度も往復している。

生で食べられる根菜って貴重。 やまといも を毎日食べてます。

根菜は食物繊維が多く、腸内環境を整え、血流の改善にもつながる健康食材。

「中でも薬膳にも使われるやまといもは、今風に言えばスーパーフード。生でも食べられるから、代謝が上がる酵素もたっぷり摂れます。納豆やオクラと混ぜたり、すりおろして味噌汁や鍋に入れたりして、ほぼ毎日食べています」

写真のように4〜5cm程度にカットした量のやまといもをほぼ毎日食べている藤井さん。粘りの強さは、水溶性食物繊維が多い証拠。酵素もしっかり摂り入れたいなら、加熱せず生で食べるのが一番いい。
写真のように4〜5cm程度にカットした量のやまといもをほぼ毎日食べている藤井さん。粘りの強さは、水溶性食物繊維が多い証拠。酵素もしっかり摂り入れたいなら、加熱せず生で食べるのが一番いい。

 献立の中で塩の強弱 をつけています。塩分ゼロの副菜も!

献立の料理すべてを薄味にすると、全体が中途半端な味になってしまうことも。

「味のメリハリは大事です。和え物やサラダなどの副菜は、塩をほとんどゼロにしても美味しくいただけます。そうすればメインにはある程度しっかり味をつけられ、強弱がついた味わいに満足できるはずです」

ある日の献立。豆腐は香味野菜のみでいただく。塩肉じゃがは素材の味とほんの少しの塩で滋味深く。納豆卵ご飯は釜揚げしらすの塩分で。豆乳ごま味噌汁は豆乳の旨味とごまの風味を活かし、少しの味噌で調味したもの。
ある日の献立。豆腐は香味野菜のみでいただく。塩肉じゃがは素材の味とほんの少しの塩で滋味深く。納豆卵ご飯は釜揚げしらすの塩分で。豆乳ごま味噌汁は豆乳の旨味とごまの風味を活かし、少しの味噌で調味したもの。
  • 藤井 恵

    藤井 恵 さん (ふじい・めぐみ)

    料理研究家

    管理栄養士。簡単で美味しく、体に優しい料理を提案。雑誌、書籍、テレビのほか、YouTubeでも活躍。近著は『適塩でごはん革命 塩分ひかえめでもとびきりおいしいレシピ』(扶桑社)。

『クロワッサン』1076号より

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