からだ

財前直見さんの大分田舎暮らし。「大量に採れる野菜は保存食に」。

自然に恵まれた土地の豊かな野菜、あるいは世界で学んできた家庭料理、生活の知恵を凝縮した発酵食について語りました。
  • 撮影・青木和義、深澤慎平、邑口京一郎 写真協力・宝島社 スタイリング・吉田由紀 ヘア&メイク・杉田和人 構成と文・堀越和幸

大分の田舎暮らし。大量に採れる野菜は、 保存食にして一年中楽しみます。

ニット5万2800円、シャツ3万800円、スカート3万5200円(以上HOUSE OF LOTUS/ハウス オブ ロータス 青山店 TEL.03・6447・0481) イヤリング28万3800円(Capricious/エスジェイ ジュエリー TEL.03・3847・9903)

子どもが生まれたのをきっかけに故郷の大分県に移住し、それから14年が経つ。1800坪の田んぼ、1800坪の畑、1800坪の山! 

大分県北東部、国東(くにさき)半島にある財前さんの実家。山と畑に囲まれた素晴らしい景色。季節の恵みがここで採れる。

そんな大自然に囲まれて、財前直見さんは、じいじ(父)、ばあば(母)、息子の4人で暮らしている。

「ばあばは調理師免許を持っていて、私は手作りのもので育ちました。息子にも同じ経験をさせたいな、と。両親は80歳を過ぎていますが、2人とも元気。じいじが収穫、ばあばが調理担当です」

ばあばの料理を再現してレシピ化に勤しむ財前さん。「母が100点だとしたら、自分はまだ半分くらいかな」

発酵食品は昔から当たり前に食卓にあった。そんな財前さんにとって、なかでも思い出深かったものは?

「いろいろあるんですけれど、ある時、自家製の乳酸菌飲料を作ってくれたことには驚きました。市販のものよりもフレッシュでおいしかったです」

上・財前さん手描きのレシピ。左・みりんやだし昆布で漬けた赤玉ねぎのピクルス。酢の代わりに梅干しを使うのが財前家流。すると酸味が穏やかに。

ほかにもにんにくを黒く発酵させた手作りの健康食品を毎日欠かさず食べさせられた、という思い出も。このように、幼い頃から発酵食に対する味覚を鍛えられた財前さんだ。

(上)これも定番の副菜、青しそのしょうゆ漬け。ごま油、ニンニク、酢、唐辛子が味の決め手。ご飯にもお酒にも。(下)青しそのしょうゆ漬けを細かく刻んでご飯に混ぜ、さらにそれを上から包んでおにぎりに。何個でもいけそう。

ところで、田舎での野菜作りは収穫量が半端ではない。夏ならきゅうり、ゴーヤ、オクラ、なす、らっきょう、冬なら大根、白菜、チンゲン菜、里芋……が、文字どおり山のように採れる。

朝に欠かせない"食べる甘酒"。十六穀米を使い、米の粒が残るように仕上げるのが特徴。必須栄養素がこれで補えそう。

「1週間同じ野菜を食べ続けても全然追いつかない。なので、発酵食は保存の方法としても欠かせません」

かぼす塩。かぼすは塩に漬け込むだけで絶品の調味料になってくれる優れもの。鍋に入れても、薬味にしても。用途はたくさん。

ばあばの頭の中にあるレシピを引き継いで残したい。

たとえば、瓶や密閉容器の中で静かに熟成を続ける大量の梅(下写真)は、昨年の夏に収穫されたものだ。

「コンテナ3つ分も採れるんですよ。梅干しはもちろん、カリカリ梅、はちみつ漬け、しょうゆ漬け、黒砂糖漬け、梅酒と、もうあらゆる手段で保存して一年のお楽しみにしています」

ズラリ並んだ梅の加工品、保存食。財前家の梅は形が不揃いながら、香りが高く果肉もぎゅっと締まっている。

もちろん、保存食としての便宜だけが発酵食の魅力ではない。奥深い味の変化、それに健康にも役立っている。

「我が家ではもうずっと毎朝の漬物と“食べる甘酒”が習慣になっていますが、家族4人が大きな病気もせずに健康でいられるのは、そうした食生活の下支えがあるからかもしれません」

財前家の定番、梅しょうゆ漬け。梅の実の頭とお尻をカットしてしょうゆに漬け込む。カリカリとした歯触りがクセになる。

近年はばあばと一緒に、昔ながらの味を再現することに勤しんでいる。

「母の頭の中にあるものをレシピに残したい、自然の恵みに囲まれているから、なおさらそう考えるんです」

料理の下ごしらえや調味料に欠かせない、しょうゆ麹と塩麹。財前さんは市販の米麹を使って手作りしている。
財前直見

財前直見 さん (ざいぜん・なおみ)

女優

数々の映画、ドラマに出演。故郷での食と暮らしを綴った著書『直見工房 財前さんちの春夏秋冬のごはんと暮らし』(宝島社)が話題に。

『クロワッサン』1061号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。