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いま注目の「臓活」。あらゆる不調の鍵を握る五臓を知り、正しく活かす。

  • イラストレーション・松栄舞子 文・葛山あかね

前述したように、五臓は季節の流れと連動している。では、これからの季節に私たちが行うべきは?

「立冬から2月にかけては『腎』がもっとも影響を受ける季節です。ダメージを受けやすいのも腎なら、鍛えるべき絶好のチャンスを迎えているのもまた腎なんです」と尹さん。

腎は“生命力のもと”ともいえるエネルギーをためる場所。腎が弱くなれば月経や不妊、認知症といった成長や発育、生殖などに問題が起こる。また六腑に属する膀胱と一体になって水分代謝を行うため、頻尿やむくみ、めまいといった症状にも関与する。

「さらには温煦(おんく)作用といって体や臓腑を温める働きの持ち主。腎を活かせば冷えにも強くなるというわけです」

もちろん、ほかの臓も四六時中働いて私たちの体や心を守ってくれている。

「肝・心・脾・肺・腎は、お互いに協力し合いながらバランスをとっていますから(上図参照)、五臓のうちどれか一つでも不調になると、体全体がうまく巡らなくなるんです」

冬にダメージを受けやすい腎をメインに活性化させることは、ほかの臓にとっても非常に大切なことなのだ。

また、「冬はため込む力が大きいためダイエットには不向き」だそう。

こんな生活習慣の人が危ない。

●冷たいものをよく飲む。冬でも薄着。

冷たいものばかりを好んで飲んだり、冬でも薄着をしがちな人は、腎の生理機能を低下させることに。
「腎には体や臓腑を温める働きがありますが、腎が弱るとそうした機能が低下して気がついたら体が冷えていた、なんてことになりかねません」。
冷え症になることはもちろん、体温が低下し、結果として免疫力もダウンすることに。

●よくつまずいたり、転んだりする。

腎とは無関係に思うかもしれないが、腎の不調は腰痛や下半身に力が入らなくなるなど、足腰にも現れる。何もない場所でつまずいたり、ちょっとした段差で転んだりすることが多くなる場合も。
また「腎は脳を養うために必要な骨髄を司っています」と尹さん。そのため腎が弱くなると動作が鈍く、反応も遅くなりがちに。

●生理不順、生理痛。

腎は成長や生殖など生命活動を担う臓であり、ホルモンの分泌にも深く関係している。生理不順や生理痛など月経トラブルがあるときは、腎の力が弱くなっているサインかも。
また望んでもなかなか妊娠できないといった場合も同じく腎の機能低下を疑いたい。そのままだと子宮や卵巣に何らかの病気を招く可能性も高くなる。

●やる気が出ない、元気が出ない。

腎は、私たち人間のやる気にも大きく関わっている。腎は生きるために必要な〝生命のもと〟をためる場所と先述したが、腎が生命のもとに満ちていれば、自然とやる気が溢れ、活動的に動くことができる。
反対に腎の機能が落ちていると、元気が出ない、気持ちばかりが焦って空回りする、といったことが多くなる。

腎が弱るとこんな症状が。

(症状1)トイレが近い。
腎は膀胱と表裏一体となって水分代謝を行うため、弱くなると、夜中に何度もトイレに行きたくなるといった頻尿から、下痢にもなりやすい。とくに冬場は汗をかくことも少ないためか、膀胱に尿がたまりやすくなる。

(症状2)足腰がだるい、腰が痛い。
腰痛になる理由はいくつかあるものの、腎の機能低下も一つの原因として疑ってほしい。腎が弱くなると腰が痛くなったり、腰周りがだるいといった症状に悩まされ、足腰が弱くなって力が入らないということも。

(症状3)むくみがち、太りがち。
腎が弱ると、体内の水がうまく排出されず水分代謝が悪くなる。そのため体全体が重く感じ、実際にむくみやすく、太りやすくなる。とくに冬場になって下半身太りが気になりはじめたら、腎のパワーが落ちている傾向あり。

(症状4)下半身が冷える。
腎の機能低下は下半身に冷えを招くことも。なぜ下半身なのか?
「水は下に落ちる性質があるでしょう。腎が弱くなって水分代謝が正常に行われなければ、下半身に水が下がってたまり、その水が冷えることになるからです」

(症状5)顔色が悪く、くすみがち。
五臓それぞれの機能低下は「顔色からもわかる」。脾が弱くなれば黄色っぽくなり、心に問題が起こったときには赤ら顔になりやすい。そして腎機能が低下したときには、「顔色は黒っぽくなり、くすみがちになります」。

(症状6)耳鳴りやめまいがする。
腎と密接な関係にある開口口は耳のため、腎の状態は聴力にも表れる。いつもなら物音や音声がクリアに聞こえるのに、腎がダメージを受けていると耳鳴りや難聴、ひどい場合にはめまいを招くこともある。

(症状7)骨や歯が弱くなる。
「腎には骨髄を司る働きがあり、骨や歯にも影響を与えます」
腎の働きが悪くなると骨がもろくなり、腰が曲がるなどの症状が現れる。さらにその余波は歯にも及ぶため、歯がもろくなって虫歯や欠けの原因になることも。

(症状8)薄毛や白髪になりやすい。
腎の状態は髪の毛にも影響大!
「腎が正常であれば髪の毛はしなやかに伸びて艶やかさをキープできるのですが、腎の調子が悪いと発育不足になるためか、髪の毛はパサつきがちに。さらに薄毛や白髪にもなりやすくなります」

(症状9)ビクビクしやすく臆病になる。
五臓はそれぞれ感情と結びついている。肝は「怒り」、心は「喜び」。そして腎は「驚き」「恐れ」という感情に左右される性質があるため、腎が弱いとビクビクとして、臆病になりがちに。ストレスにも弱くなる。

(症状10)頭痛、物忘れ。
腎が物忘れに関係あるの?と思うかもしれないが、腎は脳に必要な骨髄を司る臓である。腎が弱れば髄液が不足して頭痛に悩まされるだけでなく、物忘れを引き起こし、ひどい場合には認知症を招くこともあるという。

腎を守り、活かす方法。

●とにかく冷やさない。

腎にとって冷えは大敵。冬になったら防寒対策はもちろん、たとえば冬の朝には太陽の光を浴びて体を温めること。また足湯もおすすめ。「足に有効なツボがあり、ここを温めると腎に力を与えることができるんです」

●足腰を鍛える。

腎が弱くなると、足腰の力が低下するが、逆に言えば足腰を鍛えることで、腎の力を高めることができる。「激しい運動をする必要はありません。散歩やウォーキングをするなどして足腰の筋力をつけましょう」

●水分を補給する。

冬になると汗をかきづらいため水分の補給を忘れがちになる。でも、水分代謝を担う腎にとってこれは大問題! 乾燥しがちな冬は適度に水分を補うことが必要だ。またトイレを我慢しないことも腎を守るために大切なポイント。

尹 生花

尹 生花 さん (いん・せいか)

臓活指導士創始者

北京中医薬大学博士課程(医学博士)修了。BHY代表。HMB(日本ホリスティックメディカルビューティ協会)の理事長も務める。

『クロワッサン』1059号より

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