免疫力を落とさないために、食生活の小さな知恵。
イラストレーション・松元まり子 文・葛山あかね
発酵食品とひとくちに言っても、2つの性質に大きく分けられます。
腸を整える発酵食品は免疫力の向上に非常に有効。ただし、気をつけたいことがあります。
「発酵食品には納豆やヨーグルトなど発酵の力が生きているものと、酢やみりん、醤油など製造過程で発酵されているものがあります」
こちらは発酵によって自らがおいしくなります。そして料理の味つけやほかの食材の味を引き立てることが主な役割になります。
「腸活のためには、その2つの性質があることを理解しておきましょう」
より効率的な効果を求めるなら納豆やヨーグルト、チーズ、甘酒、塩麹、発酵を止めていないキムチなどがおすすめです。
自分の適量を知るのに便利な 「手ばかり」を活用しましょう。
ワンプレートにのせる量は、たとえばご飯なら1食100〜150g、肉や魚は80〜100g、副菜は1品につき70〜80g……と言っても、いちいち量るのは面倒くさいと思う方もいるでしょう。
そんなときに便利なのが「手ばかり」です。文字通り、手の大きさで食べる量を推し量る方法で、保健指導などでも活用しているといいます。
「ご飯は両手でつくった茶碗に軽く1杯分。肉や魚なら片手に乗る分だけ、副菜は2品ですから両手に乗る分がだいたい自分の適量です」と牧野さん。
身長や体格が違えば、必要量は人それぞれ違って当然です。
「手ばかりのいいところは、はかりなど使わなくても自分に見合った量が簡単にわかること。子どもなら子どもの手の大きさが基準になり、大人の男性ならその手の大きさに乗る分の量を食べればいいわけです」
手ばかり方法が身につけば、惣菜を買うときなども、どれくらいが適量なのかがわかるはず。ぜひ参考にしてください。
健康にいい油も、 摂り方や使い方を間違えると台なしです。
えごま油や亜麻仁(あまに)油など体に良いとされる油は摂るほどに健康的と思っているかもしれませんが、摂取には注意が必要です。
「そもそもどの植物油であってもエネルギー量は同じ。成人の1日の脂質摂取量は50〜60gで、その範囲内で使うならいいのですが、体に良いからといってただ単に足せば、油脂類の摂りすぎで逆に健康を損なうことに。調理で使う油は約20g(小さじ5)が目安です」
ポイントは今使っている油と置き換えること。無闇に使うのではなく油の特長を捉えて。
食事内容を書き出す習慣がつくと、 何を食べすぎていて、 何が足りないかに気づけますよ。
「ご飯はちょっとしか食べてないのに全然痩せない」といった話を聞いたことありませんか。
50歳を過ぎて肥満は大敵。免疫力を落とす悪因になりますから適正体重に戻したいものの、痩せられない多くの人が「自分が何を食べすぎているのかわかっていないんです」と牧野さん。
「まずは自分の食べたものを書き出してみましょう。そうすれば何を食べすぎているのか一目瞭然。それを注意して少し減らすだけで、案外すんなりと痩せることもあるんです」
買う前に、 おやつや嗜好品の原材料をチェックしましょう。
たとえば野菜ジュース。ビタミン豊富で健康的ゆえ、いくら飲んでも大丈夫と思っている人もいるのではないでしょうか。でも中には驚くほど糖質が多いなどの落とし穴も。選ぶときには商品裏の成分表や原材料名を確認するクセをつけましょう。
「原材料名は使用量が多いものから書かれています。野菜ジュースといいながら先頭に果物が来ていれば果物が多く、その分糖質が多いことになります」
食品に対して敏感になることも免疫力アップには大切です。
味つけは 減塩ではなく、 「適塩」という考え方で。
「高血圧の方であれば減塩は必要ですが、そうでなければ、するべきは適塩です」と牧野さん。
「食材にはそれぞれおいしく食べるために適正な塩分量があります。栄養士や調理師にとってそれは常識。薄味にしても多量に食べれば結局は塩分を摂ることになるし、だったら適正量を使ったほうが満足感を得られて食べすぎることもないはずです」
今回の料理はすべて適塩ですからレシピ通りに作り、適塩に慣れることから始めてみては。
『Dr.クロワッサン 最新版 免疫力が上がる食べ方』(2020年5月28日発行)より。
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