汚れを除いて理想の頭皮を手に入れる、シャンプーとブラッシング術。
撮影・青木和義 イラストレーション・イオクサツキ
ツヤのあるロングヘアの余慶尚美さん。光を受けて輝く髪のせいか、顔全体が明るく見える。
「毎日頭皮のケアをしていると、髪は変わってきます。頭皮は肌と同じ構造で、表皮、真皮、皮下組織の3層からできています。この真皮に弾力があって、血行のよい状態が理想。土壌がよい畑からよい作物がとれるように、頭皮が健康であれば、健やかな髪が生えてくるんですよ」
そもそも、髪はどうやって伸びるのか。それは毛根の中の毛母細胞が分裂して増殖することから始まる。
「髪は1カ月に約1cmのスピードで、押し上げられるように毛根部から肌の外へと向かって伸びていきます。頭皮の毛細血管から毛乳頭へと栄養分が運ばれることで毛母細胞の活動がサポートされて、一本の毛は4年から6年の時間をかけて成長を続けます」
加齢や女性ホルモンの減少で頭皮の弾力が失われて薄毛に。
「歳をとると、なぜ髪が抜けたり、細くなってしまうのでしょう。それは、ホルモンの影響で頭皮の弾力が失われること、毛細血管が細くなり、血行不良が起きることが原因です。血管から細胞へ栄養が行き渡らないと、髪は4年も持たずに抜けたり、細くなってしまいます。これはストレスによっても加速します。最近はコロナはげという言葉も生まれたように、年齢にかかわらず抜け毛の悩みが増えていますね」
ではどうしたらいいのか。要はきちんと洗うことと、巡りをよくすること。余慶さんは、頭皮のマッサージと一日4回以上のブラッシング、体のエクササイズを欠かさないという。
「頭皮を柔らかく保ち、毛穴の汚れを落として、栄養が行き渡るように気を配りましょう。頭皮やおでこ、耳のマッサージは、気がついたときにいつでも行います。血行をよくするためには、ブラッシングも必須です。私は朝起きて夜寝るまで何度も髪をとかします」
そして、頭皮を健康にするために体のエクササイズまで行うとは、ずいぶんと遠回りな方法に思えるが、これも日々のルーティンの一つ。
「東洋医学では髪は血余といわれます。つまり全身の血が余った末に行く場所、それが髪。体の血行がよければ、頭皮も健康になるのです。毎日、簡単なエクササイズをすることを癖にしてしまいましょう。続けることで体も髪も変化してくると思いますよ」
髪が生まれる仕組み
●毛乳頭
髪の成長をつかさどる器官。この周りを毛母細胞がぐるりと覆い、その間にはメラニンを生み出す細胞「メラノサイト」がある。メラニンが多いほど黒い髪が生まれる。
●毛細血管
毛乳頭へと栄養を運ぶのは頭皮の毛細血管。頭皮が血行不良を起こしていると、髪のダメージに繋がる。
[ 洗う ]頭皮汚れが髪を弱らせる。毛穴の詰まりにも着目して。
髪ではなく頭皮を洗おう。 洗髪前のマッサージも有効。
毎日のことだから、シャンプーの仕方から見直していくべき、と余慶さん。
「髪を洗うという感覚をまずやめて、頭皮を動かしながら洗う意識を。髪はその泡が流れるだけで充分。昔、洗い過ぎは髪によくないといわれましたが、頭皮の汚れを溜めることは髪に悪影響を及ぼします。40〜50代は毎日洗うのがいいでしょう。覚えてほしいのが頭のリンパドレナージュ。どんなときに行っても
いいのですが、まずは洗髪前や洗髪時に行ってみてください」
シャンプーとトリートメントも、頭皮ケアに特化したものをこの機会に取り入れてみて。
リンパドレナージュで頭皮血流をスムーズに。
(1)両手の付け根を耳の上に置き、全ての指を頭に添わせて指で圧をかける。人差し指から薬指は全て頭頂部に当てた状態で押す。
(2)指はあまり閉じずに首のほうへと圧をかけながらリンパを流す気持ちでマッサージ。後頭部は広いので場所を変えて2回行う。
(3)側頭部は頭皮を引き上げるようなつもりで、5本の指を頭皮に添わせて、圧をかけつつこめかみから首のほうへとマッサージする。
毎日使うものから変えていこう。 シャンプー&トリートメント。
海塩スクラブが古い角質や皮脂などの毛穴周りの老廃物を取り除き、クレイ美容成分で乾燥した頭皮に潤いを与える。
傷みやすい日本人の髪をガゴメ昆布エキス、アコヤ真珠エキス、ハスエキスなどが滑らかに洗い上げ、ハリとボリューム感を引き出す。
頭皮にいい15種の植物原料を練り込んだ韓国の完全自然派石鹼。洗い上がりは多少きしむが、薄毛悩みに根本から働きかける。
余慶さんがプロデュースする、シャンプー&トリートメント。椿や和漢植物成分、海藻エキスを贅沢に配合。
一日4回以上のブラッシングで毛穴汚れを落とし、血行促進も。
「普段生活しているだけで、頭皮には汗、皮脂、空気中のほこり、そしてスタイリング剤などの汚れがついています。これらが毛穴に詰まっていると、一つの毛穴から生えてくる本数が減ったり、髪が細くなったりすることも起きてしまう。ぜひ、シャンプー時にはお風呂で使えるスカルプブラシを使って」
予洗いする際にもブラシを活用すると、洗髪効果もアップ。
「また、洗った後の濡れた髪には獣毛のブラシは避け、髪を傷めないコームを選んで。乾いた状態の髪には、頭皮の皮脂を髪に巡らせるため朝、昼、夕、そして洗髪前にブラッシングを。髪をとかすだけで頭皮は刺激され、血流は改善されます」
ブラシ&コームは用途に応じて複数用意を。
シャンプー時に頭皮を優しくマッサージするようにして使うシリコン製のスカルプブラシ。
Tゾーンの2倍といわれる皮脂を洗髪時にしっかり洗浄。髪を持ち上げながら汚れをすっきりと掻き出す構造。
ダメージを与えないよう表面を特殊加工したコーム。背面のカッサで頭皮を刺激して血行を促進。
マイナスイオンを放つトルマリン配合のイオン毛が頭皮に心地よい刺激を与えるブラシ。
とかすたびにキューティクルを整える育成光線とマイナス電子を放出。
『クロワッサン』1058号より
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