自分でできる整体、手技の基本を押さえて最適なケアを。
そんなときにも効くツボへの刺激やマッサージ法を症状別に紹介します。
不快を感じている部位に対して、効果的に働きかける押し方、もみ方も、写真を使って解説します。
鍼灸師であり指圧師の石垣英俊さんに教わります。
撮影/岩本慶三 文/石飛カノ モデル/北川リサ スタイリング/高島聖子 ヘアメイク/村田真弓 イラストレーション/松元まり子
コリや痛みの性質・部位によってアプローチの方法が異なります。
不調を感じている部位をやみくもに押したり、もんだりしても力ばかり使ってしまいます。最小限の力で大きな効果が期待できる代表的な「手指の型」を紹介します。
手技の基本を押さえて最適のケアを施す。
ここからは症状別のセルフケアの具体的な方法をご紹介していこう。主な方法は手技によるマッサージ。ターゲットとなるのは実際にこりや痛みなどの不調が現れている部分、原因となる緊張した筋肉、影響が及んでいる筋膜、ツボや経絡など。
それぞれの症状に対処していく前に、まずマッサージの基本的なポイントを踏まえておくことが重要だ。
ポイントは5つ。
最も重要なのはマッサージの強さ。痛みを感じるほど強すぎるとかえって筋肉が緊張して逆効果になるし、弱すぎても効果が期待できない。「気持ちいい」、最大でも「痛気持ちいい」と感じるくらいの強さでマッサージを。
2つ目はマッサージで圧を加える方向を確認すること。筋肉は筋線維という細かい筋が束になった組織でできている。その走行に沿って圧を加えていくことがマッサージの基本。また、お腹を刺激するときは骨や内臓の位置を確認し、圧を加える方向を正しく理解して実践を。
3つ目は刺激すべき正しい場所を見つけること。この本では、実際に症状が現れている部分以外のエリアにマッサージを行う方法も多く紹介している。写真を参考に自分の手でマッサージエリアを探りながら、適切な場所に圧をかけていくこと。
とくに、ツボを刺激するときは注意深く。その日の体調によってツボは移動するので、体の反応を見ながら刺激を入れていこう。
4つ目は症状と原因に合った方法を選択すること。同じマッサージをするにしても、その部位に適した方法がある。
もむのかさするのか押すのか。その手法に合った手の形はどうするのか。上の写真はその代表例。手技の型を覚えて最適の刺激を。
最後のポイントは自分の手の感覚で効果を確認すること。硬く凝り固まっていた部分がゆるんでくる、冷たかった部分が温かくなってくる、血管の拍動が感じられるなどなど。自分の体の声を聞くのは自分の手。効果を感じ取りながら丁寧にマッサージを。
【指先で押す、 もむ】
(基本の手の形)
人差し指から小指までの4指と指先の腹をターゲットの部位に当てて圧をかける。指先をひっかける。
↓
(使用例)
指の腹を使って筋肉をほぐすように小さく上下左右に動かす。
(使用例)
指先を骨の際にひっかける。写真は肋骨の際にひっかけている様子。
【力をかけやすい M字】
(基本の手の形)
両手の指先の甲側を合わせて「M」の字を描く。指先をターゲットの部位に差し込むようにする。
↓
(使用例)
お腹のツボを刺激。広く力がかかるから、およその位置でも効果的。
(使用例)
M字を逆にして、頭の重みを利用してツボを刺激。ぐっと入る感じ。
【テコの原理で押す】
(基本の手の形)
親指と4指でターゲットの部位をつかみ、手首を返す。テコの原理で圧をかける。
↓
(使用例)
手首を手前に返し、脛骨の際を親指で刺激。小さな力で効果を発揮。
(使用例)
手首を内外に返し、ふくらはぎをゆさぶって刺激。
【手のひらで圧をかける】
(基本の手の形)
手のひら全体、または手根の部分をターゲットに当てて圧をかける。面積が広い部分に効果的。
↓
(使用例)
側頭部の広い範囲を刺激するときに。面で圧をかける。
(使用例)
指を組めば、刺激したい部分をしっかり挟んで圧をかけられる。
そのほかのバリエーション【ピンポイントで圧をかける】
こぶしを握り、中指を前に出す。第2関節のエッジを使ってピンポイントに圧をかける。
【親指で力を入れて押す】
親指の腹をターゲットの部位に当てて、こちらもピンポイントで刺激。強い圧を入れたいときに。
【大きく動かして効果アップ】
ターゲットの部位を片手でつかんで圧をかけながら、関節を大きく回して筋肉をほぐす。
『Dr.クロワッサン 痛みとコリをすっと消す、自分でできる整体』(2020年4月28日発行)より。