背骨がコリ・痛み解消の鍵。まずは背骨を動かしてみましょう。
自分でできる整体を鍼灸師であり指圧師の石垣英俊さんに教わります。
撮影/岩本慶三 文/石飛カノ モデル/北川リサ スタイリング/高島聖子 ヘアメイク/村田真弓 イラストレーション/宇和島太郎、松元まり子
多くの不調の原因は、実は背骨にありました。
肩こり、腰痛、胃もたれ、便秘に下痢、気分の落ち込みやイライラ……。
さまざまな不調とはもう長いお付き合い。いつの間にか“なんとなく不調”が、自分の体の標準設定だと思っていませんか?
「実はそれらの不調の原因は背骨にあります」
鍼灸師であり指圧師、あらゆる角度から患者の不調にアプローチする石垣英俊さんは言う。
「内臓の疾患や不調を抱えている方は、背骨のまわりの筋肉にある特定の部位で緊張がみられることがあります。そのような背骨まわりの筋肉がずっと緊張していると、カラダの痛みやさまざまな不調を引き起こすこともあるのです」
背骨が不調の原因? と、意外に思った人。まずは背骨を動かしてみましょう。四つん這いの姿勢になって背骨を反らしたり丸めたり。ふだんあまり意識しないと思いますが、背骨の動きや頭や腰との繋がりを感じてみましょう。きちんと動かせていますか?
1.まず、背骨の動きとつながりを反らして、丸めて実感してみる。
両手と両膝を床につけて四つん這いの姿勢をとる。手の幅は肩幅、膝の幅は腰幅程度に開く。
2.反らす
お尻を天井に突き出すようにして背骨を反らす。顔と視線は上に向ける。ふだん縮こまりやすい上背部を伸ばす。
反らす時のNG
体重がお尻側にかかると、背中を十分に反らせない。
「小指側で床を押します!」(石垣英俊さん)
3.丸める
今度はみぞおちを天井に引き上げるようにして背中を丸める。顔は下に向け、おへそを覗き込むように。
丸める時のNG
重心が前に移動すると、背中が丸まりにくい。
「おヘソを覗き込むように。」(石垣英俊さん)
姿勢、内臓、ストレスが背骨まわりの筋肉に影響。
背骨で重い頭を支えて立ったり歩いたり走ったりするのは二足歩行のヒトだけ。
赤ちゃんが仰向け姿勢からハイハイをしてやがて2本の脚で立ち、ヨチヨチ歩きをして、徐々に背骨の構造が完成する。それ以降の二足歩行生活では、毎日重力という名の負担が背骨にかかってくる。
背骨は姿勢維持のベースとなるほか、歩いて着地したときの衝撃をうまく分散させて、脳を守る働きがある。さらに、背骨の中には脳から続く脊髄という神経の束が通っていて、それらの神経は内臓の働きをコントロールしている。
姿勢が崩れれば肩こりや腰痛などのコリや痛みが生じ、神経の伝達にも変調が起きる。こうした“背骨の異変”は内臓に影響を及ぼす。背骨がさまざまな不調の原因になるというのは、こうしたわけ。
「不調の大元にあるのは、姿勢の崩れや運動不足などです。そこにメンタリティや内臓の働きが関わってきます」
悪い姿勢によって背骨のまわりの筋肉が過剰に緊張する。すると骨格の中に収められている内臓の働きが低下する。また、不安や悩みを抱え込むと脳から神経を介して体に緊張の信号が送られ、内臓の不調が起こることも。逆に、内臓の不調が筋肉の緊張に繋がることもあるという。
「そうした緊張がずっと体に残るのが問題です。たとえば、呼吸器系に問題があると、背中の上部が緊張したりコリや痛みが生じたりするんです。こうなると日常生活は送れるけれど、体のいろいろな機能は低下したままになります。ちょっとしたストレスがかかるだけで、さまざまな症状が出やすくなります」
悪い姿勢、運動不足、内臓の働き、メンタル。これらの条件が複雑に絡みあって、背骨まわりの筋肉が緊張したり働きすぎて、コリ、痛み、内臓の不調などに繋がるということ。だからこそ、背骨まわりの筋肉のバランスを整えることが非常に重要。
さて、背骨を牛のように反らせ、猫のように丸めることができましたか? 不調改善の第一歩は背骨を意識することから始まります。
『Dr.クロワッサン 痛みとコリをすっと消す、自分でできる整体』(2020年4月28日発行)より。
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