背骨で重い頭を支えて立ったり歩いたり走ったりするのは二足歩行のヒトだけ。
赤ちゃんが仰向け姿勢からハイハイをしてやがて2本の脚で立ち、ヨチヨチ歩きをして、徐々に背骨の構造が完成する。それ以降の二足歩行生活では、毎日重力という名の負担が背骨にかかってくる。
背骨は姿勢維持のベースとなるほか、歩いて着地したときの衝撃をうまく分散させて、脳を守る働きがある。さらに、背骨の中には脳から続く脊髄という神経の束が通っていて、それらの神経は内臓の働きをコントロールしている。
姿勢が崩れれば肩こりや腰痛などのコリや痛みが生じ、神経の伝達にも変調が起きる。こうした“背骨の異変”は内臓に影響を及ぼす。背骨がさまざまな不調の原因になるというのは、こうしたわけ。
「不調の大元にあるのは、姿勢の崩れや運動不足などです。そこにメンタリティや内臓の働きが関わってきます」
悪い姿勢によって背骨のまわりの筋肉が過剰に緊張する。すると骨格の中に収められている内臓の働きが低下する。また、不安や悩みを抱え込むと脳から神経を介して体に緊張の信号が送られ、内臓の不調が起こることも。逆に、内臓の不調が筋肉の緊張に繋がることもあるという。
「そうした緊張がずっと体に残るのが問題です。たとえば、呼吸器系に問題があると、背中の上部が緊張したりコリや痛みが生じたりするんです。こうなると日常生活は送れるけれど、体のいろいろな機能は低下したままになります。ちょっとしたストレスがかかるだけで、さまざまな症状が出やすくなります」
悪い姿勢、運動不足、内臓の働き、メンタル。これらの条件が複雑に絡みあって、背骨まわりの筋肉が緊張したり働きすぎて、コリ、痛み、内臓の不調などに繋がるということ。だからこそ、背骨まわりの筋肉のバランスを整えることが非常に重要。
さて、背骨を牛のように反らせ、猫のように丸めることができましたか? 不調改善の第一歩は背骨を意識することから始まります。