からだ

あなたの便はどのタイプ? 色・形・臭い。便を見れば腸の調子がわかります。

年齢を重ねると、便秘をはじめガスがたまる、オナラがよく出るなどの不調が現れやすくなります。
どんな腸の病気になりやすいのかも気になります。医師の山口トキコさんに詳しく聞きました。
  • 文◦及川夕子 イラスト◦松元まり子

寿命にも関わる? 便チェックを習慣に

便秘は、よくある身近な症状。ですが、「たかが便秘」と侮れない理由があります。

年齢とともに腸内環境は悪化し、慢性便秘で悩む人が増える傾向に。また最近の研究により、便秘によって心臓の病気や脳血管の病気のリスクが高まる*ことや、寿命が短くなる可能性があることがわかってきました。

【便秘症の有無による生存率の比較】

20歳以上の米国人3933例を対象に、慢性便秘がある人(622人、平均年齢59歳)とない人(3311人、同53歳)の生存状況を15年間追跡したところ、便秘がある人の方が、生存率が有意に低下していた。 出典:Chang JY, et al. Am J Gastroenterol. 2010 Apr;105(4):822-32.)

「便秘だと必ず病気になるということではありませんが、便秘はその人の食生活などと深い関係があります。よって便秘をしないように心がけて生活をしていれば病気をしにくく、健康寿命も延びると考えられるのです。下剤で出せばいいという問題ではなく、自然なお通じがあることが大切です」と山口さん。

医学的には、便秘は「本来出すべき便を十分量かつ快適に排便できない状態」のことを言います。理想は下の4番の便。

「2〜3日に1度の排便回数であっても、バナナ状の便が出て、排便後にスッキリとして感じられるならいい状態。逆に毎日排便があっても、残便感や腹痛など不快な症状があり、つらいということなら腸の働きが弱っている可能性があります」

色や臭いにも注意。黒かったり白かったり、血が混じるなら病気の恐れもあるので早めに受診を。また、臭い便は食物繊維不足の可能性もあります。

便は、健康や老化のバロメーター。健康な腸を作るためにも、スッキリ排便&質のよい便を目指すことが大切です。

「これって便秘? 便秘じゃない?」

⃝ 強くいきまないと出ない、残便感がある ⇒便秘(排便困難型)
⃝ お腹の張りや腹痛がある ⇒便秘(排便回数減少型)
⃝ 毎日排便があるが、量が少なかったり、便の状態が1番・2番の状態 ⇒便秘かもしれない
⃝ 毎日出なくても定期的に排便があり、スッキリする ⇒便秘でない
⃝ バナナ1~2本の量の便がすんなりと出る ⇒便秘でない

*出典 Honkura K, et al.: Atherosclerosis 2016; 246: 251-256

【あなたの便はどのタイプ】

(1)コロコロ便

硬くてコロコロの兎糞(とふん)状の(排便が困難な)便

(2)硬い便

ソーセージ状であるがでこぼこした硬い便

(3)やや硬い便

表面にひび割れのあるソーセージ状の便

(4)普通便

表面がなめらかで柔らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便

(5)やや柔らかい便

はっきりした断片のある柔らかい固形の(容易に排便できる)便

(6)端がほぐれて

ふにゃふにゃの不定形な小片便、泥状の便

(7)水様便

水様で、固形物を含まない液体状の便

「1や2なら便秘の可能性あり、3から5が正常の便、6や7は下痢の便。4番ならいうことなしです。便秘と下痢を繰り返すような場合には、過敏性腸症候群が疑われます」(山口さん)
出典:Bristol Stool Form Scale

【快便生活のポイント】

規則正しい生活⇒自律神経のバランスを整える

特に朝食がポイント。朝食を食べると、腸がその日の活動をはじめ、排便のきっかけにもなります。自律神経にもよい影響が。

毎食、食物繊維 を摂る ⇒ 柔らかく出やすい便を作る、便のカサを増やす

穀類や野菜などに含まれる不溶性食物繊維と、海藻などに含まれる水溶性食物繊維の両方をバランスよく摂ること。

乳酸菌や発酵食品を摂る ⇒ 腸内環境を改善、腸内の善玉菌を増やす、整える

ヨーグルトやチーズ、漬物、納豆、味噌など、いろいろな発酵食品を毎日摂りましょう。和食なら発酵食品をたくさん摂りやすい。

水分を適量とる ⇒ 柔らかく出やすい便を作る

健康な便は十分な水分を含んでいます。するんと出やすい便を作るためにも、1日1.2〜1.5リットル程度(食事分を除く)の水分補給を。

起き抜けに水を1杯 ⇒ 自然な便意 &排便リズムを作る

からっぽの胃が刺激されると、その刺激が大腸に伝わり便意のきっかけに。牛乳でもOKですが下痢をしやすい人には水がおすすめ。

山口トキコ

山口トキコ さん (やまぐち・ときこ)

マリーゴールドクリニック院長

東京女子医科大学卒。同大大学院、東京女子医科大学病院一般外科、社会保険中央総合病院・大腸肛門病センター勤務を経てクリニック開業。日本大腸肛門病学会専門医・指導医・評議員。日本外科学会専門医。
医学博士。日本臨床肛門病学会 技能指導医・評議員。

※プロフィールは取材時のものです。

『Dr.クロワッサン 免疫力アップの決め手、腸内環境を強くする』(2020年7月30日発行)より。

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