料理家の山脇りこさんが選ぶ、腸を養うためには大切な、「本物」の調味料。
そこで調味料マニアである山脇りこさんに調味料の選び方について教えてもらいました。
撮影◦岩本慶三(調味料) 文◦葛山あかね
基本調味料が導く健康のすすめ
家にいる時間が増えた今、自宅で料理をする回数も多くなったのではないでしょうか。簡単に味が決まるめんつゆや時短になる調理の素、手軽なドレッシングなど便利な商品が増えていますが、
「基本の調味料、さしすせそがおいしければ、料理はシンプルに、味も決まりやすくなり、腸内環境も整うのではないでしょうか」
そう話すのは料理家の山脇りこさんです。醤油蔵や味噌蔵など各地にある造り手に足を運ぶほどの調味料マニアでもあります。そんな山脇さんに調味料選びのコツを教えてもらいました。
「保存料や甘味料、添加物を入れずに、ていねいに、時間をかけて昔ながらの作り方を守っているものに魅力を感じます。腸内環境にもやさしいでしょう。特に醤油や味噌、酢は発酵調味料です。きちんと時間をかけて発酵・熟成させたものほどそのパワーは強い気がします。
塩や砂糖も昔ながらの作り方をしているものの方が、自然の恵みであるミネラル分を豊富に残しています。そんなふうに、少しだけ作り方にも思いを馳せて調味料を選ぶことは、長い目で見ると健康につながると思います」
調味料を替えれば、すぐに体調に変化が表れるといったことはないものの、毎日使うものだからこそ、その品質は大切になってくる。
「それに自分の好きな味のこだわりのある調味料を使えば料理がその日からおいしくなってすぐに料理上手になれますよ」
ここでは山脇さん愛用の品々を紹介。ぜひ参考にしてください。
調味料の「さ」:[砂糖]精製せずにミネラル成分が残っているものを。
砂糖は多種類ありますが、精製してあるものと精製していないものに分けることができます。
前者は上白糖やグラニュー糖など、後者は黒糖やきび糖、てんさい糖などがあり、山脇さんがおすすめするのは後者です。
「甘味だけでなく、独特な香りや旨味、コクがあってミネラルも豊富に含まれているので、できるだけ昔ながらの製法で作っているものを選んでいます」。
山脇さんが好んで使うのは波照間島の「黒糖(粉)」と奄美諸島産のさとうきびを原料にした「素焚糖」。
「上白糖に比べると甘さは2~3割減で、独特の香りもあり、色もつくので、その前提で使ってください」
(1) 波照間島産 黒糖(粉)
250g ゆうな物産 TEL.098-892-5004
http://www.ryukyujima.net/shop_info.php?ShopCode=022404&
(2) 素焚糖 ※現在、パッケージデザインは変更しています。
200g 大東製糖株式会社 TEL.043-302-3108 https://www.daitoseito.co.jp
梅シロップや梅酒作りに使うのも黒糖や素焚糖。ただ甘いのではなく、まろやかでコクのある味わいになるとか。
[みりん]本みりんには甘味だけでなく、 旨味やコクがあるんです。
みりんには、本みりんといわゆるみりん風調味料があります。本みりんとは焼酎や醸造アルコールの中に麹ともち米を入れて造る混成酒で、アルコール度数も12〜14度ほどあります。「本みりんには砂糖には出せない独特の甘味、深い旨味があり、私は煮物の味を大きく左右すると思っています。そんなに味が違うの?と思うかもしれませんが、一度、飲んでみてください。誰もが違いに気づくと思います。もともと甘味の強いお酒として飲まれたものなので、飲んでもおいしいんです」。山脇さんが長年使うのは酒蔵である福光屋「福みりん」。3年熟成された逸品です。
三年熟成 純米本味醂 福みりん
720ml 株式会社福光屋 TEL.0120-293-285 https://www.fukumitsuya.co.com
[甘酒]米由来の自然な甘味の発酵調味料。 腸も喜びます。
「料理に甘味をつけたいとき、砂糖のかわりに甘酒を使うこともあります」と山脇さん。選びたいのは砂糖不使用のもの。なかには甘味を引き立てるために塩を加えてあるものもありますが、できれば米麹と米だけのものを。
「『髙木糀商店』の甘酒は麹が生きていると感じる甘酒」。暑い季節におすすめなのは「甘酒に刻んだパイナップルを入れて冷凍するだけのシャーベット」とか。また昨今、塩麹も人気ですが「塩麹はまろやかな分、塩分過多になりがちなので気をつけています。私は甘酒に少し塩を入れ〝なんちゃって塩麹〟にして野菜を漬けたりしています」
甘酒
500g 髙木糀商店 TEL.076-252-7461 http://takagikouji.com
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