からだ

炭水化物を冷ませば太りにくい?レジスタントスターチの実力。

これまで肥満の原因とされてきた炭水化物が一転、ダイエットの救世主に? レジスタントスターチとは一体……。
  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・イオクサツキ 文・葛山あかね

冷えると本領を発揮する、レジスタントスターチとは?

これまでダイエットの天敵と思われてきた炭水化物。でも実は、「食べ方次第で、痩せやすい体作りをサポートするうれしい味方でもあるんですよ」とは女子栄養大学栄養クリニック教授の蒲池桂子さん。その立役者となるのがレジスタントスターチだ。

「これは炭水化物に含まれるでんぷんの一種。でんぷんは糖質ですから、通常なら消化・吸収されてエネルギー源となり、摂りすぎれば太る要因にもなりますが、レジスタントスターチは、でんぷんはでんぷんでも、私たちの消化酵素では分解しにくい性質の持ち主。消化されずに大腸まで届きます」

レジスタントとは「消化しにくい」、スターチは「でんぷん」のことで、「難消化性でんぷん」を意味している。

「しかも、レジスタントスターチは冷めると増えるという特徴があるんです」

そもそも、でんぷんはいくつかのブドウ糖が絡み合った集合体(下図・1)。加熱するとこれがほぐれて(下図・2)、消化・吸収しやすい状態になるが、再度、冷えることによって緩んでいたブドウ糖が絡まり合い、強力に結びつくことに(下図・3)。すると、「まるで食物繊維のような働きをしてくれます」。

5年ぶりに改訂された「日本食品標準成分表(2020年版・八訂)」ではレジスタントスターチはもはや食物繊維として扱われている。

便秘解消や脂肪の蓄積の予防、カロリーオフ効果まで!

その実力たるや、単なる食物繊維以上に優秀。

「食物繊維には便をカサ増しして腸の蠕動(ぜんどう)運動を促す不溶性食物繊維と、善玉菌のエサになる水溶性食物繊維がありますが、レジスタントスターチはその両者の役割を果たします」

また、腸内において酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸を生み出す働きも。悪玉菌の発生を抑え、免疫機能を高めるだけでなく、「脂肪の蓄積を予防するダイエット効果も持ち合わせています」。

さらに食物繊維同様に、血糖値の急激な上昇を抑え、なおかつ一度食べると次の食事の血糖値の上昇も抑えるというセカンドミール効果も期待できる。

「それに、単純に同じご飯を食べたとしても、冷ますことでレジスタントスターチが増えますから、摂取カロリーが抑えられるというメリットも」

レジスタントスターチはご飯や、パスタなどの麺類、パン、さらにいも類や豆類に豊富に含まれる。

図1

調理前のでんぷんはブドウ糖が最も絡み合っている状態。消化酵素では分解できない。

図2

加熱すると絡み合っていたブドウ糖がほぐれるため、消化・吸収しやすい状態に。

図3

加熱後のでんぷんを冷ますとブドウ糖の結合が強化。消化されないまま腸内へと届く。

蒲池桂子

蒲池桂子 さん (かまち・けいこ)

女子栄養大学栄養クリニック教授

栄養学博士、管理栄養士、病態栄養専門管理栄養士。栄養と健康に関する講習会やダイエットの指導、生活習慣病対策の相談などを行う。

『クロワッサン』1049号より

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