首筋シャワーで肩や首のこりをほぐし、自律神経も整える【クロワッサンライターの身になる話】
文・韮澤恵理
首筋を温めると不調が解決!
湯船に浸かってゆっくり体を温めるといいのはわかっていても、忙しくてシャワーですませてしまう日も多いのでは? これでは、体を清潔に保つことはできても、1日の疲れをほぐし、リラックスすることはできません。わかってはいても、湯船に浸かる時間はないときに、効果的なのが首筋シャワーです。首の後ろに少し水圧の高いシャワーを当てるだけで、肩こり、首こり、ストレス、眼精疲労まで解決すると言われています。
重い頭を支える首の緊張は相当なもの!
首は重い頭を支えていて、筋肉が常に緊張を続けている部位です。特に女性は男性に比べて首が細くて筋肉量も少ないために、肩こりや首の疲れが起こりやすいのだといいます。スマートフォンの普及で覗き込む姿勢を取る時間が長くなり、首の自然なカーブが失われるストレートネックが増えていますが、これも首の筋肉の緊張を増幅しています。
心臓から送り出される血液は、首の血管を通って頭に届きますが、筋肉が緊張して血管を圧迫していたり、冷えて血管が収縮していると血流は悪くなります。すると脳は交感神経を優位にして対応しようとするのですが、かえって緊張が増し、リラックスできません。
自律神経を整える大切な神経節が首筋に。
さらに、首の付け根部分には交感神経の集合体のような「星状神経節」という神経が集中しているポイントがあり、この部分が温まると交感神経がゆるみ、副交感神経が優位に。つまりリラックスモードになることも知られています。整形外科医、眼科医、自律神経の専門医にお話を聞いた時に共通して語られたのが首筋の重要性でした。
東洋医学を治療に取り入れている医師も、「手足の冷えは、冷えている部分を温めるより、首筋を温めたりほぐしたりするほうが効果的です」と話していました。首の後から後頭部にかけては、大椎(だいつい)、天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)といった肩こりや目の疲労をとったり、血行をよくして冷えを解消するツボも集中しているので、水圧でツボ刺激をすることでつらい症状が改善します。
水圧でほぐれる筋肉の緊張。
首筋の筋肉をほぐせば改善するのですが、セルフマッサージやストレッチを習慣にするのは疲れている人には負担です。マッサージの専門家も「他人の手でほぐされるから心地いいのです。凝りをほぐすだけでなく、人の手にゆだねることで癒やし効果も得られます」と言います。
そんな時間はとれないという人に実践してほしいのが首筋シャワーです。水圧によるマッサージ効果でマッサージのようなもみほぐし効果と、湯を当てることで温めて血流をよくする効果の2つが同時に得られます。
強めの水圧で、なるべく近くからシャワーを当てるのがコツ。通常の拡散するシャワーより、ピンポイントに湯が当たるストレートタイプがよりおすすめ。手でシャワーを持っていると肩や腕が疲れるので、シャワーヘッドはホルダーにかけるとよりくつろげます。40〜42度の少し熱めの湯が効果的ですが、温度が高すぎると、交感神経が刺激され、目が冴えてしまうこともあるので要注意。時間は気持ちがいいと感じる程度で十分です。
首を温める効果は絶大
こりをほぐしたり、血行をよくすることに加え、首筋シャワーには睡眠の質を上げる効果もあります。普通にシャワーを浴びると皮膚表面だけが温まり、深部体温が上がりません。首を集中的に温めると、このデメリットを克服できるのです。首には太い動脈が比較的皮膚の近くにあるので、温かい血液が全身に巡り、深部体温も上げてくれます。人は一度上がった深部体温が下がる時に、眠気を感じるので、スムーズに眠りにつけ、睡眠の質も向上するのだそう。
パソコンに向かい続けた日の夜は、肩こりや目の疲れもマックスです。できるだけ早く寝たいけれど、脳が仕事モードから切り替わらないというときには、首筋に温かいシャワーを当てながら、3〜5分間、目をつぶって頭の中を空っぽにします。不思議に頭も体もリセットされ、休息モードに切り替わるのを実感できるので試してみてください。温かい飲み物でくつろぎ、少し体温が下がってきたところでベッドに入るとスーッと眠りにつけます。