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疲れは全身症状だから、 漢方が頼りになります。

体の疲れも心の疲れもどこか特定の一カ所が問題なのではありません。そんな時には全身の流れを整える東洋医学の出番です。6つの疲れにいい処方とともに紹介します。

文・韮澤恵理 イラストレーション・松元まり子

全身の流れと力を正常にする東洋医学。

西洋医学では一般的に病気を局所的な原因に求め治療を行います。

対する東洋医学では、不調は部分のトラブルではなく、全身の流れ、体のパワーバランスの乱れとして捉えます。具体的には体には「気」「血」「水」の3つの流れがあり、そのどれか、または全部が滞ったり、不足したり、過剰になると不調になると考えます。

さらに東洋医学特有の考え方に「証(しょう)」があります。体質や体力に近いものです。東洋医学では「証」を不調と戦う力として、とても重く見ます。エネルギー過剰な実証、エネルギー不足の虚証、中等度の「虚実間証」の人もいます。

こうして体のトラブルを3つのめぐりや体質で考える東洋医学では、治療も、症状ではなく「状態」に対して行います。

漢方薬は、体質やめぐりを改善する働きをもつ植物など(生薬(しょうやく))を数種類組み合わせた薬です。本来は煎じて煮出し、煎じ汁を飲むものでしたが、今はエキスを顆粒(かりゅう)にしたものが主流になっています。

疲れは全身症状だから、 漢方が頼りになります。

『気』とは

気力、元気、やる気といったエネルギーのことで、バランスがくずれるとメンタルや自律神経に不調があらわれる。免疫力の低下も。

【気の症状】気滞(きたい)
スムーズに流れているべきエネルギーが滞り、イライラしたり、怒りっぽくなったり、逆にやる気がなくなる、うつうつとするといったメンタルの落ち込みとしてあらわれる。気が不足する「気虚」の場合も。

『血』とは

血液そのものと血液の流れのことで、バランスがくずれると血液ドロドロや、貧血、血行不良などがあらわれる。

【血の症状】瘀血(おけつ)
血液の流れが悪かったり、血液どろどろの状態で、停滞した血液は細胞の老廃物を回収できなくなり、滞った部分に悪影響が。目の下のくまやうっ血、不眠、精神の不安定などがあらわれる。

【血の症状】血虚(けっきょ)
栄養不足などが原因で、血液そのものが足りていない、血液の成分が足りていないという状態。貧血、皮膚の乾燥、爪が割れる、髪が細くなったり抜けたりするのが特徴。また血液の成分不足が原因でメンタルのバランスがくずれたり免疫力が落ちる。

『水』とは

体内の血液以外の水分のことで、リンパ液、汗、尿、涙、唾液などのアンバランス。水の過不足はむくみや乾燥としてあらわれる。

【水の症状】水毒(すいどく)
体の中の水分の分布の異常や、水分の体外への排出がうまくいかない状態。汗や尿が出ない、または出すぎる、涙や唾液が足りない、皮膚が乾燥する、停滞した水分によるむくみや冷え、めまい、下痢などが起こる。内臓の働きも落ちる。

【虚証】

エネルギー不足で健康を維持できない状態。脈も弱く、低血圧でやせぎみ。弱々しい印象で、冷えや乾燥、貧血ぎみ。抵抗力がなく、病気がち。

【実証】

エネルギー過剰な状態。脈が速く、皮膚や筋肉も緊張し、血圧が高く、太りぎみでイライラしやすく、それが原因の病気にかかりやすい。

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