からだ

疲れは全身症状だから、 漢方が頼りになります。

  • 文・韮澤恵理 イラストレーション・松元まり子

疲れにいい6つの処方。

東洋医学では疲れも全身のめぐりやエネルギーのバランスが原因と考えます。ここでは疲れによく用いられる処方を紹介します。

人参養栄湯[にんじんようえいとう]

慢性的な疲れや、体力の低下、衰弱などを改善する処方です。「気」と「血」の両方を補う万能の漢方薬とされ、体の疲れだけでなく、ストレスやメンタルの不安定、不眠といった心の疲れにも効果的で、病後の疲れ、寝汗、冷え、貧血にも効く、弱った体を回復させる漢方薬です。

補中益気湯[ほちゅうえっきとう]

主に「気」の不足による不調に効く処方です。「気」が不足すると、体の機能は悪くないのに、しっかり働かないパワー不足の状態に陥ります。名前の通り、気を補い、やる気や元気を出します。胃腸の調子をよくし、食欲を出して気を高め、それをめぐらせる、まさに疲れに効く漢方です。

半夏厚朴湯[はんげこうぼくとう]

特に病気ではないけれど、だるい、調子が悪い、のどが詰まって感じるという「気」の滞りに効きます。不安や神経性の胃腸炎、ストレスなどに有効です。

抑肝散下陳皮半夏[よくかんさんかちんぴはんげ]

ストレスが原因の疲れや不調に効く処方です。「気」の不足を補い、「気」と「血」の両方をめぐらせることで、自律神経やメンタルを安定させます。

桂枝加竜骨牡蛎湯[けいしかりゅうこつぼれいとう]

「気」と「血」のバランスの悪さに効く処方です。バランスを整えることで心を落ち着け、いらいらや不眠、それに伴う疲れや不調を改善します。

柴胡加竜骨牡蛎湯[さいこかりゅうこつぼれいとう]

滞った「気」をめぐらせて体内にこもった熱を冷まし、脳の興奮を抑えるので、ストレスによる不眠や動悸(どうき)、不安が原因の疲れやすさが改善します。

薬効がある香辛料やスパイスなどを活用。

身近なスパイスや香辛料には生薬と共通しているものも多い。薬効を知ってうまく料理や飲み物に利用して。

シナモン = 桂皮(けいひ)

おなじみのシナモンには、血行をよくする効果がある。毛細血管を再生する成分が含まれているのが特徴で、細胞に血液を届けやすくする。

なつめ = 大棗(たいそう)

甘ずっぱいドライフルーツでおなじみ。多くの漢方薬に配合される生薬で、ゆるめ効果が高く、滋養強壮や利尿、精神安定作用がある。

くこの実 = 枸杞子(くこし)

杏仁豆腐などの中華レシピに登場するくこの実は、滋養強壮にいい生薬として知られ、赤い色は目に特効のあるゼアキサンチン。

ローリエ = 月桂樹葉(げっけいじゅよう)

スープやシチュー、ピクルスなどに使うローリエは、血流をよくし、体を温める効果がある。お茶として利用すると香りでリラックス。

カルダモン= 小豆蔲(しょうずく)

アジアで広く愛されるスパイスで、日本でもおなじみに。胃腸を整え、唾液や胃液の分泌量が増えて。免疫力アップ。発汗効果も。

山椒 = 山椒(さんしょう)

しびれる辛さに特徴がある山椒は内臓の機能を向上させる。胃腸の調子を整え、消化器の不調からくる疲れに効果的。代謝も上がる。

工藤孝文

監修

工藤孝文 さん (くどう・たかふみ)

内科医、漢方医

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院、地域の基幹病院を経て、福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に携わる。著書に『やせる出汁』(アスコム)、『疲れない大百科』(ワニブックス)など多数。テレビ『ガッテン!』『ホンマでっか!? TV』などでも活躍。

『Dr.クロワッサン 免疫力を強くする、疲れない体のつくり方。』(2020年6月26日発行)より。

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