具合が悪くて病院に行っても、うまく症状を伝えられなかったり。体の違和感をなんとなく覚えているものの、遠慮して言い出せなかったり。医師が話していることをよく理解できていないのに、「わかりました、大丈夫です」と、つい答えてしまったり。意外とあるこれらの状況は、医療に対するあなたの受け身姿勢に原因があるかもしれません。
一昔前まで、「医療は受けるもの」でしたが、実は今、「医療は参加するもの」に変わってきています。医療従事者にお任せだった従来と異なり、医療に積極的に参加することが患者に求められているのです。どう医療に参加していけばいいのか、患者としての心得や意識改革について、患者の主体的な医療参加をサポートする認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)の理事長、山口育子さんにお話を聞きました。
「今は、患者とその家族も含めて医療に取り組むという『チーム医療』の時代です。患者もチームの一員だからこそ、適切に薬を服用したり、生活習慣を見直したりと自分にできる努力をしながら、役割意識をもって積極的に医療に参加していくことが大切です。そのうえでまず大切なことは、病気は人に代わってもらえないと自覚すること。病気の内容や進行度によってはすぐに受け入れられないこともあると思いますが、自分は自分という命の主人公であり、身体の責任者だからこそ、最終的に病気に対して自分の持ち物だという自覚を持つことが重要です。また、自分はどういう医療を受けようか、あるいは受けないのか、自分自身でしっかりと考えることも重要です。そして、考え出した結果を『私はこういう理由でこういう治療を選ぼうと思います』と、医師に伝えること。さらに、もしも治療を受けると決めたのなら、医療者ときちんとコミュニケーションをとって協働していくこと。一生懸命に医師が説明しても、患者が聞く耳を持たなければ意味がありません。自分にできる自分の役割を果たしながら、チーム医療の一員として努力をしましょう」