冬を健やかに乗り切る、基本の「き」。冬のからだ悩み対策。
撮影・玉置順子 スタイリング・白男川清美 イラストレーション・糸井みさ 文・小沢緑子 撮影協力・AWABEES、UTUWA、TITLES
冬になると増えてくる、こんな病気や症状にご用心! 冬のからだトラブル【症状】
マイコプラズマ肺炎
ウイルスや細菌の感染が肺にまで進む症状が肺炎。高齢者がかかりやすいイメージだが、実際に65歳以上に多くみられるのは肺炎球菌による肺炎。
「一方、子どもから50代くらいまでの人がかかりやすいのが、マイコプラズマという細菌の仲間による肺炎。秋冬に増え始めます」(大谷さん)
感染から発症までの潜伏期間は1〜3週間くらい。症状は風邪と似ていて発熱、頭痛、全身の倦怠感はあるが鼻症状は少なく、激しいカラ咳が出る。
「重症化しなければ怖くない病気ですが、ぜんそくに移行することも。感染経路はくしゃみ、咳などでうつる飛沫感染や接触感染なので、予防するには手洗いやマスクが有効です」(大谷さん)
頻尿
「冷えると頻尿になることはよく知られていますが、寒いと感じると、自律神経のうち交感神経が活発になって頻尿になります。また少ない量でも膀胱が過剰に収縮し、我慢できない強い尿意で失禁したり、頻尿になる過活動膀胱も増加傾向です」(渡邉さん)
臓器が集まる腹部や腰周りを温めることがひとつの防止策。腹巻きを利用したり、デスクワークのときは腰にストールを巻きつけても効果がある。
花粉症
夏が猛暑だと翌冬のスギ花粉飛散量が増えるといわれる。年々発症時期が早まる感があるが、「花粉が飛散する前から漢方薬を飲むと症状が軽いことが多いため、2月の飛散ピーク期に備え、年末年始頃から小青竜湯(しょうせいりゅうとう)などの漢方薬を処方しています」(渡邉さん)。
「近年花粉症は増えていて、日本人の3人に1人が発症。花粉が大量に飛散する年は、それまで平気だった人も発症する可能性は高い。治療は対症療法以外に、1月末など花粉の飛散前から始めて発症を遅らせる初期療法も。また根本的な治療を目指す、舌下免疫療法もあります。治療は6月から11月の間に始め、3〜5年続けます」(大谷さん)
治療開始の時期を逃さないよう注意。
冬季うつ病
秋から冬にかけ発症し、春になると解消する季節性の感情障害。
「冬は日照時間が短くなることで、脳内において精神を安定させる働きのある物質、セロトニンの機能が低下することが一因だと近年わかってきました。冬は屋内で過ごすことも多く体内時計がズレやすいので、まず朝日をしっかり浴びて体内時計をリセット。日中もなるべく明るい太陽光の下で過ごすことを意識してください」(渡邉さん)
血圧サージ
寒くなると注意が必要なのが、瞬間的に血圧が急上昇する血圧サージ。
「ストレスなどの影響もありますが、血圧が高めの人だけでなく、正常な人にも起こる症状です」(大谷さん)
そもそも気温が高くなると血管が広がって血圧は下がり、低くなると縮んで血圧は上がる。その急激な変動が大波(サージ)のように繰り返し起こると、血管に負担がかかり脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まる。
「暖かい部屋から冷え切った廊下やトイレ、脱衣場から浴室へ移動するときも、急な温度差で血圧が大きく変動するヒートショックが起こります。暖房器具の工夫で、家の中で寒暖差を作らないことが肝要です」(大谷さん)
ドライアイ、ドライマウス
口の中が乾くドライマウス、目が乾くドライアイも、冬は気になる症状。
「加湿器などを使って室内の湿度を50〜55%程度に保つ、口腔内を潤す、目薬を利用するなどの乾燥防止対策は怠りなく。それでも悪化したり、鼻や膣などほかの粘膜も乾燥するようなら、婦人科や内科で検査を。更年期障害、あるいは50代女性に多い膠原病の一種、シェーグレン症候群の初期症状の可能性もあります」(渡邉さん)
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