からだ

冬を健やかに乗り切る、基本の「き」。冬のからだ悩み対策。

  • 撮影・玉置順子 スタイリング・白男川清美 イラストレーション・糸井みさ 文・小沢緑子 撮影協力・AWABEES、UTUWA、TITLES

咳ぜんそく

季節を問わず発症するものの、冬は風邪やインフルエンザの感染が引き金になって増える。

「気管や気管支の粘膜に炎症が起こって過敏になり、夜間や明け方、笑ったとき、あるいは温度の急激な変化や冷気、エアコンの風、ラーメンの湯気などちょっとした刺激に反応して、激しい咳が止まらなくなる症状です。風邪の咳なら1週間から10日ほどで治りますが、咳が2週間、3週間としつこく止まらなかったら、咳ぜんそくの可能性があります」(大谷さん)

症状は咳のみだが、放置するとヒューヒューと呼吸が苦しくなる気管支ぜんそくに悪化することも。不眠の原因にもなるので経過に気をつけたい。

風邪の咳は1週間でおさまるが、長引く場合は咳ぜんそくの場合も。

冬バテ

「ただでさえ寒い冬は、かなりのエネルギーが体温維持のために使われます。しかも暖房の影響で室内外の寒暖差が大きいと、大事な内臓のある深部体温を一定に保つため、血管の調節を行う自律神経への負担が大きく、バランスを崩してしまいます」(渡邉さん)

その状態で起こるのが寒暖差疲労とも呼ばれる、冬バテ。

「大きな寒暖差は自律神経だけではなく、気管支や血管にもダメージを与えます。疲労感、倦怠感のほか、肩こり、首こり、手足のしびれ、動悸、喘息、鼻炎など、重篤ではないけれど不快な症状が多くあらわれます」(大谷さん)

それらが冬バテの正体。解消するには充分な休養と栄養を欠かさずに。

寒暖差に体がついていけず、“寒暖差疲労”とも呼ばれている。

寒暖差アレルギー

室内外の寒暖差が7度以上になると起こりやすいといわれる症状。

「鼻がムズムズしたり、くしゃみや鼻づまり、サラサラした水っぽい鼻水が出るなど、アレルギー性鼻炎に似たもの。医学的には血管運動性鼻炎と呼びます。特定のアレルゲンが原因でもなく、熱もなく風邪を引いたわけでもないのに自律神経の働きがアンバランスになることが原因とされています。中高年の女性に特に多くみられることがわかっています」(大谷さん)

やはり寒暖差が一番の刺激となり起こるので、なるべく温度差を抑えること、血流をよくすることが予防策。

「マスクは鼻粘膜に触れる冷気を遮断してくれるので有効です」(大谷さん)

インフルエンザ

「ここ数年、日本では冬の流行時以外にも、一年じゅう感染がみられるようになりました。ただ、爆発的に流行しないのは、冬ほど湿度が低くならないから。湿度は高いほうが、のどの免疫力は低下せず、インフルエンザウイルスが気道に入っても、のどにある線毛が活発に動いて体の外に排出してくれると考えられています」(大谷さん)

流行時の感染機会を減らすには、ワクチンの接種が王道で一番効果的。

「ワクチン接種は10月から可能で、その効果は約5カ月間。発症のピークは1月から2月で、その後4月上旬まで流行は続きます。春先まで効果をもたせたいなら11月か12月に接種を」(大谷さん)

はしか

昨年末から今冬にかけて、大人の感染者が相次いで報告されたはしか。強い感染力を持ち高熱や発疹などの症状があり、大人が感染すると脳炎を引き起こすなど重症化するといわれている。

「日本固有のはしかは、2015年、WHOが根絶と認定しています。昨今確認されているのは、海外から持ち込まれ感染が拡大したもの。感染力はインフルエンザの10倍といわれています」(大谷さん)

はしかは、飛沫感染や接触感染のほか、空気感染もする。ウイルスはマスクの隙間を通るため、マスクは無効。手洗いでも防げない。予防策はワクチンの2回接種。幼児期の接種の有無や回数は母子手帳で確認しよう。

大人の発症者も増加。予防策はワクチン接種で抗体をつくること。
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