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【皮膚のトラブル編】専門医に聞く、40代以降に多い手と指先の疾患と対策。

年を重ねた手指には、肌代謝の周期や女性ホルモンの乱れが起こすトラブルも。40代以降に多い疾患の対策を専門医に聞きました。
  • イラストレーション・shino 文・大澤千穂

皮膚にまつわるトラブルも40代から増えてきます。

臼井佳恵(うすい・かえ)さん●代々木上原皮膚科クリニック 副院長。大学病院で乾癬や脱毛症など幅広い皮膚の疾患を研究後、現在はクリニックにて患者と相談しながらの投薬治療、スキンケアの指導を行う。

「40代以降は家事で手を酷使しがちな上に、代謝の衰えとともに肌のターンオーバー周期がゆるやかになる年代。一度抱えた皮膚トラブルが治りにくい世代といえます」

と、皮膚科医の臼井佳恵さん。40代以降のトラブルで特に多いのは、皮膚バリアの機能低下によるものという。

「大きな原因が、台所用洗剤や熱いお湯。それが刺激となり表皮の油膜が失われると、皮膚内の水分が蒸発して肌が乾燥しやすく、手湿疹などのトラブルにつながります。また手の洗いすぎも原因の一つ。最近は除菌系ハンドソープも人気ですが、皮膚には刺激になります。頻回の手洗いは避けましょう」

また夏から秋にかけての時季は、汗にまつわる皮膚トラブルも。

「汗腺が詰まって起こる異汗性湿疹、汗と反応して起きやすい金属アレルギー。どの疾患も悪化すれば色素沈着を残す可能性もあるので要注意です」

夏の終わり、指の腹や手のひらに強いかゆみをともなうプツプツが。

⇒ 【異汗性湿疹】かも?

湿度も気温も高い日本の夏は、肌にとっても過酷な環境。夏の疲れがたまり、ホルモンバランスも乱れがちになるこの時季に注意したいのが異汗性湿疹(いかんせいしっしん)。

初夏から秋にかけての季節の変わり目に多い疾患です。発汗が活発なこの時季、手のひらに汗がたまり、水ぶくれになります。手のひらなど汗腺が集まった場所に出ることが多いですね。最初は小さな水疱がプツプツと出て、その水蝣疱が乾いてつぶれると次第に皮がめくれてきます」

特徴的な症状は、水疱による強いかゆみ

「初期でもすごくかゆいですし、症状が進むと痛みも出ます。治療は強めのステロイドの塗り薬を一日2回が基本ですが、症状がおさまれば早めにやめられますよ」

ごく軽症であれば自然治癒することもあるけれど、「皮がめくれた部分に洗剤が触れることで手荒れを起こしたり、金属アレルギーの引き金になることも」。

初期にきちんと治療を受ければ、完全治癒も早くなる。別のトラブルを併発する前に、早めに診察を受けたい。

汗腺が詰まって強いかゆみをともなう水疱が手のひらに。

手のひらに膿を持つできものが。 人目も気になり食品にも触れない!?

⇒ 【掌蹠膿疱症】かも?

手のひらに無菌性の膿を持つ水疱ができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)。異汗性湿疹と症状は似ていても原因は別。

「感染症や免疫の乱れが原因と言われます。解明されていない部分もありますが40代、50代の日本人女性、特に喫煙者に多い疾患です」

また、症状には個人差もある。

かゆみが出る場合もありますが、自覚症状がない人も。いずれにせよ繰り返しやすいですし、放置すると茶色いかさぶたや皮のめくれなどが気になるように。早めの受診がおすすめです」

まれに関節炎を併発する場合も。
「その時は整形外科と連携した治療が必要。鎖骨や肋骨痛の自覚症状があれば別物と考えず相談を」

悪化すると手袋なしでは買い物できないという声も。
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