からだ

医師に聞く40代50代の健康管理、3つの鉄則。

自分の健康は後回しにしがちな40代、50代。
しかし、この年代こそ健康管理は最優先事項です。
  • イラストレーション・三東サイ 文・小沢緑子

こんなことありませんか?

□ 健康診断を忘れがち
□ 婦人科系の検診が苦手
□ 健康には自信がある
□ かかりつけ医はいない
□ 健康管理は先の話だ

若い頃は健康そのものだった人も、更年期以降、不調を感じ始めるのは自然の理、と女性専用人間ドック「クレアージュ東京 レディースドッククリニック」総院長の浜中聡子さん。

「今まで女性の体を守っていた女性ホルモンが減少。さらに、年齢とともに親から引き継いだ『遺伝的な要因』が前面に押し出され、生活習慣病をはじめ、さまざまな病気を発症するリスクが上がるからです。人生後半のクオリティを高めるためにも、日頃から健康管理への意識をもってほしいです」

今回、健康管理の鉄則「定期健診」「かかりつけ医」「日常の健康観察」の3つについてアドバイスしてもらった。

\ 鉄則1 / 将来の自分自身や 家族のためにも、 健康診断は〝義務〞。

「まず、健康管理は健康診断をすることに尽きます。年1回の健康診断は、義務のひとつと心得てください」

婦人科検診もできれば毎年行って。

「特に乳がんは女性が罹患するがんの第1位で、閉経後の発症も多い。乳がん検診はマンモグラフィ、子宮頸がん検診は細胞診に加え、ともにより正確な診断のために、任意でも超音波検査を組み合わせてほしい」

ほかにも骨が脆弱になる骨粗しょう症予防のための骨密度検査、加齢で増える白内障や緑内障発見のために眼底と眼圧検査も定期的に行いたい。

「健康診断で数値がひっかかったらどうしようと不安がる人もいますが、早期発見のために健康診断の正常値は厳しく設定しています。『病気になる前にリスクを見つけてくれるもの』と冷静にとらえましょう」

〈 40代、50代で受けたい検診&検査 〉

●一般健診特定健診
年1回、企業で実施するのが「一般健診」。身体計測、血液検査、尿検査、胸部X線など全般的に行う。自治体などでは生活習慣病予防に絞った「特定健診」を実施。

●がん検診
大腸がん・肺がん検診は年1回、胃がん検診(50歳以上)は2年に1回。企業の健康診断か、自治体実施のがん検診で受けられる。無料か少額の自己負担あり。

●婦人科検診
2年に1回、企業や自治体のがん検診で、乳がん検診はマンモグラフィか超音波検査、子宮頸がん検診は子宮頸部細胞診を実施。無料か自己負担にて。

●骨密度検査
閉経前後から定期的に受けたい。DEXA(デキサ)法がより精度が高い。整形外科や人間ドックなどで自費で受ける。自治体によっては節目検診を行う場合も。

●眼底・眼圧検査
白内障、緑内障など、加齢によって増える目の病気の早期発見に役立つ検査。眼科や人間ドックなどで自費で受ける。自治体によっては節目検診を行う場合も。

\ 鉄則2/ 〝点ではなく線〞で診てもらえるかかりつけ医をもつ。

かかりつけ医をもつことも重要。

「健康診断もそうですが、毎回同じ医療機関にかかれば症状や検査結果も蓄積されて比較ができます。〝点ではなく線〟で診ることができるため、より的確なアドバイスが行えます」

健康診断を受けたり、職場や自宅近くで風邪をひいたときもかかりやすいクリニックを、まずは候補に。

「もし今、持病などで通っていて気軽に相談できる医療機関があるなら、内科に限らず、そこをかかりつけ医に。何かあったときは必要に応じて、専門医を紹介してくれるはずです」

今後〝長く付き合っていく〟という視点で選ぶことも大切。

「治療を進めるためには、患者さんの話に耳を傾けて総合的に判断する必要があります。相性もあると思いますが、話しやすく、一方的に決めつけず、説明がわかりやすい医師のほうが長く付き合えると思います」

〈 かかりつけ医の選び方 〉

●内科に限らず、自分がよくかかる科をかかりつけ医にしても。

●敷居が高くなく、話しやすく説明がわかりやすい。

●結論をすぐ出さず、患者の話に耳を傾けてくれる。

●自宅や職場の近くなど、通いやすい場所、条件下にある。

●必要に応じて、ほかの専門医療機関や専門医を紹介してくれる。

\ 鉄則3/ 体重、尿や便に急激な変化がないか日々観察。

毎日、家でできる体調観察は?

「自分でわかりやすいのが体重。更年期以降、食が細くなったり、代謝が落ちて多少体重の変動はあるかもしれませんが、何も心あたりがないのに短期間で急激に減る、増えるは黄信号。さまざまな病気のリスクになりますし、何らかの疾患が隠れている可能性もあるので一度受診を」

尿や便も状態や色、回数や頻度など、普段と違う変化がないか注意。

「排尿時に痛みや残尿感などがあれば、膀胱炎の可能性もあります。極端に便が細いときや便秘や下痢を繰り返すときなどは、念のために大腸がんの検査をすると安心です」

ほかにも、日常の健康観察に忘れずに取り入れてほしいのが、乳がんのセルフチェック。

「乳がんは唯一、自分で発見できるがん。月に一度、乳房の状態を鏡で見る、指で触れてしこりがないか確認する方法を実践してほしいです」

〈 日常の体調観察これだけは! 〉

(体重)
短期間のうちに体重が減る、増えるは要注意。極端な減少は消化器系、糖尿病やがん、極端な増加は甲状腺機能低下などの症状のひとつでもある。

(尿、便)
尿や便は色や状態、頻度や回数も変化がないかチェック。肉眼でも色が赤いのがわかる血尿や血便が出た場合、重大な病気のサインなので受診を。

(乳がんセルフチェック)
月に一度、鏡の前で乳房や乳頭に変形などがないか確認。さらに指の腹で乳房全体、脇下から乳房の中心に向けてしこりなどがないか自己触診。

浜中聡子

浜中聡子 さん (はまなか・さとこ)

クレアージュ東京レディースドッククリニック総院長

日本抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医など。女性が前向きに年齢を重ねるため、精神と身体の両面からのケアを重視。

『クロワッサン』1104号より

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