手湿疹とはいわゆる手のかぶれや刺激が病態化したもの。
「洗剤や手の洗いすぎなどでバリア機能が失われて、皮膚が刺激に弱くなってしまった状態です。手のひらより皮膚が薄い手の甲に出ることが多いですね。薬剤やお湯に常に手をさらしている美容師さんなどの職業病として知られますが、炊事や介護、子どもの世話などで日常的に洗剤や水を使う大人の女性にもよく見られます」
最初は軽い赤みや乾燥から始まるが、単なる手荒れと甘く見て放置すると、徐々に悪化してひび割れに。それが常態化していくケースも少なくない。
「なかなか赤みがひかないと思いつつ、それが原因と知らずにいつもどおりの洗剤や熱いお湯での炊事を続けているとブツブツとした湿疹が広がり、ひび割れができるとお湯さえしみるようになってしまいます。また一過性の手荒れと自己判断し、合っていない市販薬を使い続けてひどくなってしまうこともあります」
根本的治療は、洗剤など原因となった刺激物から離れることなのだが、炊事など日常的な家事にまつわる作業を一切やめることは、難しいのが現実。
「まずは症状をおさえて快適に過ごせることを目標とした治療をします。基本はハンドクリームなどによるまめな保湿と、ステロイドの塗り薬の継続的な使用。洗剤やシャンプー、整髪料など手にふれる日用品も、少しでも刺激を感じたら使用を中止して刺激の少ないものに見直していきましょう」
皮膚バリアを弱める原因となる刺激物を控え、保湿をすること。それが一番の治療でもあり、予防の基本でもある。
「昨今の清潔意識の高まりで頻繁に手を洗いすぎる女性が増えているように感じます。特にハンドソープを使った手洗いやアルコール除菌は皮膚には刺激となるので最小限に。そしてハンドクリームでこまめに保湿をすることが、一番の手湿疹対策になります」