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〈睡眠〉大切なのは量よりも質。寝る前にリラックスできるかが快眠の鍵。

40歳前後からホルモンの関係で睡眠が浅くなり、「なんだか調子悪い」が増える。ホリスティックビューティエキスパートの尾野真美子さんに睡眠と深く関わる入浴も含めて、工夫点を教えてもらった。

撮影・中島慶子(尾野さん)、黒川ひろみ(商品) イラストレーション・山中玲奈 文・嶌 陽子

Q. 理想の睡眠時間はどれくらいですか?

理想の睡眠時間も、体質などによって個人差があるもの。

「7時間を目安として、朝すっきり目覚められるかどうか、午前中に眠くならないかどうかをチェック。しばらく様子を見ながら、自分にとって最適な睡眠時間を判断するといいでしょう」

なお、翌日忙しく寝られそうにないからと、前日にたくさん寝ておく、いわゆる“寝だめ”は、

「全く効果がありません。本来、人間が持っている体内リズムは約24時間周期で眠くなるようにできています。睡眠中に行われる成長ホルモンの分泌なども、事前にためておけるものではないのです」

健康を保つには、日々良質な睡眠をとること、すなわち毎日の体内リズムを整えることが大切だ。

「ただし女性の場合、ホルモンバランスによって睡眠の量も質も変わりやすくなります。特に閉経時は眠りが浅くなりがちです。あまり悲観せず、『そういうものだ』と思って昼寝などで睡眠を補うようにしましょう」

Q.海外へ行くと、寝つきが ますます悪くなります。

人間は約24時間周期の体内リズムを持ち、昼は活動的に、夜は休息するようにできている。海外へ行くと時差により体内リズムが崩れるため、寝つきにくくなる。いわゆる「時差ボケ」だ。

「これを防ぐには、起床時間を一定にして、乱れてしまった体内時計をリセットすることが必要です。旅先では眠くても、朝は一度起きてカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。体に『今から朝だ』と教えるのです。二度寝する場合でも、カーテンは開けたまま、光が入るようにしてください」

また、環境が変わると緊張してしまって眠れないという人も。

「いつものパジャマや香りを持っていくなど、なるべく普段と同じ環境に近づけるのも大切です」

日光を浴びると“睡眠ホルモン”と呼ばれるメラトニンの原料、セロトニンも分泌される。
日光を浴びると“睡眠ホルモン”と呼ばれるメラトニンの原料、セロトニンも分泌される。

Q.寝つきをよくするためのお助けアイテムを教えてください。

副交感神経を優位にし、自然と眠くなるようにするためには、心身をリラックスさせてくれるアイテムを選びたい。最近、人気なのがスマホにダウンロードできる“瞑想アプリ”。静かな音楽を流したり、音声で瞑想法を案内したりと、種類も豊富だ。

「ただし、スマホを枕元に置いたまま眠ると電磁波が体に影響を与える可能性もあります。寝る際は50cm以上離れたところに置くようにしましょう」

アロマオイルなど、香りもリラックスするのに有効だ。

「効果効能を気にするより、自分が好きだと感じる香りを選ぶのが一番。『寝室で使う香りはこれ』と決めておけば、使い続けるうちに、その香りを嗅ぐだけで休息モードに切り替えられます」

“上質な眠り”に着目したオイル状美容液。独自の精油ブレンドが心身を解きほぐし、肌を健やかに保つ。TH REE バランシング SQ オイル R 30ml 1万円(THREE TEL.0120-898-003)
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寝る前に寝具や寝室にひと吹き。穏やかな香りの天然アロマが深い眠りへと誘う。グッドナイトピローミスト 45ml 2,800円(ニールズヤード レメディーズ TEL.0120-316-999)
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Q.日中、眠くなってしまうことが。昼寝をするときの工夫点は?

日中に眠くなったからといって深い睡眠をとると、夜の睡眠の質が悪くなってしまう。

「人の体温は早朝から上がり始めて夕方にピークに達し、そこから徐々に下がっていきます。この下がり方の勾配が大きいほど、睡眠の質が高まるのです。日中、深く寝るとそこで一旦体温が下がるため、その後の勾配が緩やかになってしまいます。結果として夜の眠りが浅くなるのです」

そのため、昼寝をするなら、20分ほどの浅い眠りにとどめたい。

「横にならず、座ったまま机に突っ伏して寝る、昼寝をする前にコーヒーなどのカフェインをとり、すっきり覚醒できるようにするなどの工夫をしましょう」

コーヒーを飲んでから座ったまま20分ほどうたた寝すれば寝覚めもつらくない。
コーヒーを飲んでから座ったまま20分ほどうたた寝すれば寝覚めもつらくない。

毎日、特に意識せず行っている入浴と睡眠。でも実は、良質な睡眠と入浴は切り離せない関係にあると、尾野真美子さんは話す。

「睡眠にとって何より大切なのは、量よりも質。深く眠ると、その間に成長ホルモンが分泌されたり、新陳代謝が活性化されたり、新しく血液が作られたりして、体がととのえられるのです。では、深く眠るためにはどうすればいいか。それには寝る前に副交感神経を優位にすること、つまり体をリラックスモードにすることが必要です。適切な入浴時間と温度、タイミングを守れば、入浴は“リラックススイッチ”を入れる最適な手段になります」

また、入浴自体にも、体内の血の巡りをよくする働きがある。

「血流がよいと、体内に酸素や栄養が行き渡り、老廃物も回収できます。これがうまくできないと頭痛や生理痛などの不調につながるのです」

体をきちんと休ませることと、血の巡りをよくすること。この2つが、特に更年期前後には健やかな毎日の基盤になる。入浴と睡眠、それぞれのコツを知って、不調知らずの体を作ろう。

〈睡眠〉大切なのは量よりも質。寝る前にリラックスできるかが快眠の鍵。

尾野真美子(おの・まみこ)さん●ホリスティックビューティエキスパート。美は高いレベルの健康、と考えるNPO法人日本ホリスティックビューティ協会所属。働く女性や母親向けの講座を多数開催している。

『クロワッサン』1006号より

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