からだ

ブツブツ、皮むけ、血色不良…。これで解決、手の悩みのQ&A。

放っておいても治る? 医師に診てもらうべき? 判断が難しいトラブルの数々をプロが見極めます。
  • 撮影・谷 尚樹 文・嶌 陽子 イラストレーション・三東サイ
土屋佳奈(つちや・かな)さん●皮膚科医。東京医科大学卒業。JR東京総合病院勤務などを経て、現在は東京都台東区の「つちやファミリークリニック」で診療を行っている。

「紫外線や乾燥など、手は常にさまざまな刺激にさらされています。これらが蓄積し、50代くらいからシワや手荒れなどになって表れるのです」

そう話す、皮膚科医の土屋佳奈さん。さらに加齢による女性ホルモンやコラーゲンの減少などが手の悩みの原因になることも多いのだという。

普段の生活で実践できる二大ケア法は、保湿と紫外線予防だ。

「保湿は、外的刺激から手を守る意味もあるので、冬だけでなく一年中するのが理想。保湿剤は肌に水分を閉じ込め補給する働きのあるヘパリン類似物質やセラミド配合のものを選ぶといいでしょう。日焼け止めも一年中必要です。SPF30程度のものでOK。日中は数時間ごとに塗り直しましょう」

顔と比べると、手のケアを丁寧にする人は案外少ないと話す土屋さん。

「どんなに顔をきれいにしていても、手を放置すると、シミやシワなど、年齢が如実に表れます。“手は顔と同じ”と考え、しっかりお手入れしましょう」

Q.水仕事による「手荒れ」を防ぐ賢い方法はありますか?

家事の中でも毎日行うのが洗い物。それにより手がガサガサしたり、赤いぶつぶつができたりするという人は多い。こうした手荒れは「主婦湿疹」ともいわれる。

「水や洗剤などの外的刺激が手荒れの主な原因。それをなるべく防ぐことが大切です。たとえば洗剤も、強力に油汚れを落とす濃縮タイプのものを使うと、手の皮脂も奪ってしまう可能性があるので注意が必要です」

だが、なんといっても一番の予防策はゴム手袋をはめることだ。

「中にはゴム手袋をはめると手がかゆくなるという人もいますが、その場合は100円ショップなどで売っている薄い綿の手袋をして、その上からゴム手袋をするといいでしょう」

苦手なゴムもこれなら大丈夫。

Q.手や指にどんどん増えるシワは何とかなりませんか。

「そもそもシワとは、加齢により皮膚が弾力を保てなくなったということ。皮膚の張りを保つヒアルロン酸やコラーゲンが年齢とともに減少していくのです」

ヒアルロン酸やコラーゲンを減少させるもうひとつの大敵が紫外線だ。いわゆる「肌の光老化」と呼ばれる現象は、紫外線を長年浴び続けることで肌が老化し、シワやシミなどになって表れること。シワを増やさないためには、手にもしっかりと紫外線対策をすることが大切だ。

「顔や腕などには一生懸命に日焼け止めを塗る習慣のある人でも、手の甲は案外塗らないもの。ですが、手の甲は紫外線を浴びやすい部位でもあります。一年を通して、手もきちんとUVケアすることを意識しましょう」

光老化は手の甲にも、と覚えよう。

Q.チョコレートを食べると手のひらに小さな水疱ができる。

強いかゆみを伴って現れる手のひらの小さな水疱。破れてジュクジュクすることもある。最後は手の皮がむける形で、2〜3週間で症状が治まる。かゆみがひどい場合、ステロイド剤で治療することも。これが「汗疱(かんぽう)」と呼ばれるものだ。汗以外に、ニッケルやコバルトなどの金属アレルギーが原因のことも。金属アレルギーはピアスなどのアクセサリーを着けている人にも多いが、実はニッケルやコバルトは一部の食品にも含まれている

「チョコレートやココア、豆類、小麦胚芽、ハマグリなどに多く含まれています。もし何度も汗疱ができるようなら、一度検査を受けて金属アレルギーの有無を調べてみるのもいいでしょう」

ズルくない。アレルギーを知っておくことは大切。

Q.手のひらの皮がむけます。痛くはないけれど、気持ち悪い。

気付くと手のひらの皮がむけている。一体、その原因は何?

「手のひらに汗をかいて、皮膚がふやけてむける場合のほか、手の水虫の場合があります。足に比べるとケースは少ないものの、手も水虫になりうるのです。特に足に水虫があるという人は、そこから感染する可能性もあります」

水虫でもかゆみがないこともあるため、見分けるのは難しいが、

「1〜2カ所だけですぐ治まるならおそらく汗によるものでしょうが、手のひら全体に広がってなかなか治らないという場合は、水虫が疑われます」

手の水虫は、放置すると体のほかの部位や家族にうつる可能性が高い。症状が続くようなら早めに受診したい。

もしかして、と思ったらとりあえず皮膚科に。
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