本や雑誌で見た、石井佳苗さんの美しく、かつ居心地のよいインテリア。誰もが憧れる事務所兼自宅を訪れた。一歩入ると真っ赤なソファが目に飛び込み、それを中心に絵画やオブジェが見事に調和する、まさに石井ワールド。
「モノが多いでしょ」と石井さんは笑うが、不思議と気にならない。すべてが心地よさげに調和しているのはなぜ?
「たぶん、すべて私というフィルターを通しているから。大きく突出しているものがないからでしょうね」
棚のものの配置の仕方、照明の使い方などテクニックはあるのだが、
「自分らしいインテリアにするには、何より、自分が “ときめく” ものを選んでいるかが大事なんです。私は、アートをいつも近くに感じていたい。でも、それらは私の基準で、私がアートと感じたもの。年代もいろいろだし、木材や金属など素材もさまざまだけれど、全部、私がときめいたものばかりです」
同じテイストで揃える必要もない。むしろ、年代ミックス、素材ミックス、デザインミックスが奥行きを出す秘訣。
「引っ越しや家族構成など環境が変われば、住まい方が変わる。当然インテリアも変わります」
私自身もね、と続ける石井さん。
「ずっと黒髪のボブヘアだったのが、何だか重く感じて、ブラウンとアッシュでカラーリングしたら、メガネや服の色も変わって、新鮮でした。何事も変化を怖れずチャレンジすることは必要ですね」