「普段はアメリカ暮らしなので、日本に帰ると和菓子が食べたくなりますね」
そう語る八神純子さん。ロサンゼルスを生活の拠点としつつ、ここ最近は毎年、日本で全国ツアーを行っているため、2つの国を行き来する日々を送っている。食への関心は人一倍高く、ツアーなどで各地をまわる際も、必ずその土地の道の駅をのぞき、おいしいものを探すそうだ。
岩手県岩泉町の老舗菓子店『志たあめや』のかりんとうも、「道の駅いわいずみ」で出合った一品。丸くて平たい形で、うずまき模様が特徴。黒糖と黒ごまの風味が、口いっぱいに広がる。
「もともと岩手県は、震災支援のために頻繁に訪れていたのですが、岩泉町は去年の大型台風で被災したこともあって何度か訪問していました。しばらくして、『道の駅いわいずみ』が営業を再開したと聞き、再び訪れた時に、このかりんとうに出合ったんです。黒糖好きの私にとって、この風味はたまりません。小ぶりなサイズで食べやすいし、食感もすごくいい。それに、揚げている油が良質なのか、たくさん食べても胃にもたれないんです」
手みやげに贈った知人たちにも大好評。岩泉に行くと、必ず買うお菓子となった。
「アメリカにも持って帰ろうと思って、いつもまとめ買いするのですが、日本にいる間に周りの人に差し上げたり、自分で食べてしまったりするので、まだ持って帰れたことは一度もないですね(笑)」
アメリカに暮らして約30年になる八神さん。日本に帰国するたび、食文化の豊かさと食へのこだわりを実感するという。
「アメリカには、手みやげの文化もあまりないんです。でも私は食べることが大好きなので、自分が感動した味を皆と共有したい。それにおいしいものを作っているお店を応援したい気持ちもあるので、このかりんとうのように、好きなものはどんどん人に贈りたいと思っています」